坂東玉三郎が「染五郎」「左近」若手を次々ご指名のワケ 歌舞伎界を取り巻く“厳しい状況”が背景に
東京・歌舞伎座の「錦秋十月大歌舞伎」夜の部が、大入り満員に沸いている。
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「ファンのお目当ては、平成27年に人間国宝に認定された片岡仁左衛門(80)と、当代随一の女形・坂東玉三郎(74)。そして斯界の“プリンス”こと市川染五郎(19)の三人。予想通り、女性ファンが中心ですね」
とは歌舞伎担当記者。仁左衛門と玉三郎は新派の名作「婦系図(おんなけいず)」で顔を合わせるほか、染五郎は玉三郎と共演する「源氏物語 六条御息所(ろくじょうみやすどころ)の巻」で、初めて光源氏を演じている。
「次代を担う若手を育てなくては」
「ここ数年、玉三郎は孫ほど年齢差がある若手と共演する機会を増やしています。9月に古代王朝が舞台の『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 吉野川』に主演した際には、娘役に尾上松緑(49)の長男である尾上左近(18)、その恋人役に染五郎を指名。玉三郎は女方の経験が乏しい左近のために、公演の4カ月前からマンツーマンで細かく所作などの指導に当たってきました」
歌舞伎における光源氏は、これまで、戦後に活躍した十一代目市川團十郎以来、十二代目團十郎(ともに故人)、その系譜に連なる十三代目團十郎(46)が演じてきた。
「独特の気品と色気が求められる難しい役柄です。玉三郎は“自分の目の黒いうちに次代を担う若手を育てなくては”という使命感を強めている。その背景には、歌舞伎界を取り巻く厳しい状況があるんです」
仁左衛門や玉三郎が出演する夜の部のチケットは、発売と同時に完売となる。一方で尾上菊五郎(82)や中村獅童(52)、尾上菊之助(47)らが出演する昼の部は空席が目立ち、集客に苦戦しているという。
「いまの歌舞伎界をけん引する菊之助や團十郎、中村七之助(41)らも、かつて玉三郎との共演で厳しい指導を受けています。年齢を鑑みれば、大ベテランの二人が元気に舞台に立つ時期はさほど長くはないでしょう。それを意識してか、玉三郎は今回の染五郎の起用について“これからの歌舞伎界を担う、染五郎さんを相手に努めることに意義を感じます”と話していました」
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