総選挙で惨敗「公明党」がセクハラ訴訟で敗訴 「所属議員」のセクハラ、「代表」の被害女性への“口止め”を「東京地裁」はどう判断したか
法廷に立った被害女性
週刊新潮ではこの事案について、2022年9月15日号で報じた。すると、熊野議員は同月に議員辞職した。そして公明党、ついで熊野前議員が名誉毀損で損害賠償請求訴訟を提起し、両訴訟は併合された。請求額はそれぞれ3300万円、1100万円である。
法廷で原告側は「セクハラ」を否定し、LINEのメッセージなどは「親密な関係にあった両者が楽しみながら交わしたもの」と主張。山口代表の「口止め」についても、熊野氏が酔っぱらい電話をかけたことについては謝罪したものの、セクハラのことは聞いていなかった。したがって口止めすることもありえないと主張した。
一方、被告の「週刊新潮」側は、太田さんと熊野議員のLINEのやり取りなど、記事の内容を証明する証拠を提出。4月には被害者女性も法廷に証人として立ち、被害の詳細を訴えた。
対する熊野前議員は尋問の要求に応じず、公明党側も証人を立てなかった。
セクハラを認定
こうした経緯を経て10月に下された判決では、両者の言い分をどう評価したのか。
まず「セクハラ」については、熊野前議員が太田さんのお尻を触ったり、性的な内容のLINEを送ったりしたことや、わいせつな内容の電話をしたことは事実と認定。上記の原告側の反論については、提出されたLINEなどの証拠から、女性が事案直後から被害を訴えていることに着目。「原告熊野の言動は許容される限度を超え、女性の意に反するものであった」と認定した。セクハラの真実性、つまり、セクハラがあったと認めたわけである。
続いて、女性が電話の後、熊野前議員や関係者と交わしたLINEなどの証拠から、「セクハラ被害」について北側副代表(当時)に伝えていたことは真実だと認定。その上で、上記の証拠などから見て、山口代表(当時)にも「熊野議員のセクハラ」が伝わり、代表が選挙への影響を考えて太田さんに「公表されれば議席に影響する」などとの懸念を述べたことは、真実と判断するに足る、十分な根拠があると認定したのである。
よって原告の請求は棄却、すなわち、熊野氏および公明党の敗訴となった。
太田さんは言う。
「勇気を振り絞って声をあげ、証言台でもつらい記憶と向き合いながら真摯に被害の詳細をお話ししました。その主張が認められてホッとしています。同じような被害を受けて悩んでいる方の背中を押すことができていたら、嬉しく思います」
公明党に聞くと、訴訟の代理人弁護士がこうコメントした。
「法廷に提出された証拠の分析を十分に行うことなく、安易に週刊新潮サイドの言い分を認めたものであり、著しく不当なものであるため、速やかに控訴する予定である」
関連記事「公明党・熊野正士議員の性加害が発覚 被害女性が明かす、身の毛もよだつ「セクハラLINE」の内容とは」では、熊野前議員によるおぞましいLINEや電話の内容について詳報している。
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