「立浪さんのようになるなら監督なんて…」 中日新監督“地味すぎる人選”のワケ
人気のセ、実力のパ――もはや死語だが、監督人事はいまだにその傾向がある。
【写真をみる】「たしかに地味かも…」 “ミスター・ドラゴンズ”の後任となった井上氏
監督の資質とは、人気や知名度か、それともマネジメント能力か。むろん両方あるに越したことはない。セ・リーグを制した巨人・阿部慎之助監督(45)や、選手たちが“監督行かないで運動”を繰り広げた日本ハム・新庄剛志監督(52)はその一例かもしれない。
日ハムといえば、2012年から10年間監督を務めた栗山英樹氏は、選手としては名声を得られなかったものの、監督として能力を発揮し、2度の優勝を果たした上、WBCも制覇した。
スポーツ紙記者いわく、
「来季から指揮を執るオリックス・岸田護(43)、楽天・三木肇(47)の両監督も、知名度より指導者としての能力を買われていますね」
実力第一のパに比べ、セは人気重視の傾向がある。
「極め付きが巨人。生え抜きの4番かエースしか監督にしない不文律があります」
阪神も同類で、新監督には藤川球児氏(44)が就任。現役時代に“火の玉ストレート”で一世を風靡したが、指導歴は皆無だ。
巨人、阪神に次ぐ“戦前創立3球団”の一つ、中日も人気主義が色濃い。
「その集大成が“ミスター・ドラゴンズ”立浪和義氏(55)の監督就任でした。成績のみならず観客増も期待されましたが……」
結果は、3年連続最下位。時代遅れの管理体制もひんしゅくを買い、“監督行かないで運動”もなく職を辞した。
それでも観客動員数は右肩上がりだったのだが、
「SNSで距離が縮まり、選手お目当ての“推し活”が増えた。立浪監督を観に来たわけじゃなかった」
お世辞にも有名とは言い難いが……
後任は、2軍監督から昇格した井上一樹氏(53)。中日一筋の生え抜きだ。タイトル獲得歴はなく、お世辞にも有名とは言い難いが、
「落合政権でも2軍監督を務めるなど、指導者として評価は高い。それに、中京テレビの中継で解説をしていて、東海地方では名士ですよ。というか、名古屋人は“一樹を知らん日本人なんていにゃあやろ”と思っている節がある」
ともかく、セにも実力主義が浸透しつつあるのだ。
もっとも、“地味な監督”にも利点があって、
「年俸が安い。彼も立浪さんより数千万円安い。プライドが高いスターは、フロントも扱いにくいですし。以前は岐阜県の部数を伸ばすために岐阜出身選手を監督に据えたりしましたが、今は新聞そのものが売れなくなってしまったのでね」
大物監督の需要が減る一方、供給も減っている。
「引退後にユーチューバーとして食っていける時代ですから。立浪さんのように晩節を汚すのなら監督なんて御免だ、と考えるOBが増えています」