丸川珠代氏の敗因は「お涙頂戴作戦」だけではなかった! 弱者に冷たく負けず嫌いで「なんか鼻につく」

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 いわゆる「裏金議員」として処分され、先の総選挙で落選となった丸川珠代元五輪相(53)。ライターの冨士海ネコ氏は、今回の敗因は「負けず嫌い」と「ズレた有能感」にあると分析する。

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 10月27日の衆議院選挙で、「0秒落選」が伝えられた丸川珠代氏。裏金議員として逆風の中、街頭演説日程を公表しないステルス選挙運動も裏目に出たよう。夫である大塚拓氏も落選となり、夫婦そろって議員資格を失った。

 そもそも丸川氏の支持層が一体どのあたりだったのか、単純に疑問だった。元女子アナといっても、分かりやすく男性ファンが多いタイプではなかったように思う。テレビ朝日の女子アナ時代に出演していた「TVタックル」では「笑わない女子アナ」として大ブレイク。東大出の経歴とクールな美貌も、高嶺の花というイメージを強めたのだろう。

 本人も意識していたようで、退社直前の業界紙のインタビューでは「東大出で、顔がキツくて、すぐに自分の意見を言いたがると周囲に批判され」ていたと話している。そうした窮屈な思いが、政界進出へ踏み出す一つのきっかけになったようだ。

 しかし興味深いのは、ドライで鼻っ柱の強い女子アナとは真逆のイメージを語る人が少なくないことだ。局アナ時代に先輩だったフリーアナ・雪野智世さんによれば、丸川氏の性格は「負けず嫌い」だけでなく、「いつも周りを見て発言する」一面もあったよう。女子アナより政治家向き、と結んでいたが、風向きを読んだ上で鋭いコメントを残すのがうまいということだろう。

 退社直前に出演した「ロンドンハーツ」では、「格付けしあう女子アナ」企画にて、「(一般男性100人に聞いた)根本的に男を分かってない女子アナ」で第7位にランクイン。

 出演した女子アナは計10人。つまり、「男を分かっている女子アナ」第3位になったということだ。投票コメントでも、「男を持ち上げ気持ちよくするのがうまそう」「男が一人になりたい時にそっといなくなりそう」など、ここでも「空気を読むのがうまそう」という評価を得ている。

 男性にも物おじしない、強い女に見せていると思っている丸川氏と、空気を読むのがうまい人と感じている同僚や視聴者。そのイメージのズレは、2007年当時は「女子アナの割に賢い」「有能そう」と自民党関係者や有権者に映ったのだろう。でも2024年は、「なんか鼻につく」「どうも信用ならない」という悪印象に転んだ。裏金問題や「愚か者発言」などばかりが話題で、大臣時代の功績もいまひとつということもあるが、他者に自分がどう映っているかということがよく分かっていなかったというのもまた、政治家としての大事な資質に欠けていたと言わざるを得ないのではないか。

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