「テンポが遅い」「家族の描写が薄い」…朝ドラ「おむすび」視聴率が全国で総崩れする深刻すぎるワケ
全国的に深刻な低視聴率
朝ドラこと連続テレビ小説「おむすび」の視聴率が全国的に総崩れ状態に陥っている。ビデオリサーチが大規模調査を行っている札幌、関東、名古屋、関西、北部九州の5地区のうち、札幌は世帯視聴率が10%割れ寸前、関東は全回平均が史上最低を更新しかねず、制作を担当する大阪放送局がある地元・関西も低水準が続く。世代ごとの視聴率も全体的にかなり低い。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】
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民放関係者に取材し、ビデオリサーチが調べている「おむすび」の全国の視聴率を調べた。
【おむすび】10月11日(金)第10回
札幌 世帯 11.6%(個人7.9%)
関東 同 14.7%( 同 8.2%)
名古屋 同 14.6%( 同 8.1%)
関西 同 12.9%( 同 6.7%)
北部九州 同15.1%( 同 8.1%)
序盤が厳しく批判されたが、視聴率が深刻なまでに落ちたのはその後だ。
【おむすび】10月25日(金)第20回
札幌 世帯 11.0%(個人7.9%)
関東 同 13.1%( 同 7.4%)
名古屋 同 14.7%( 同 8.2%)
関西 同 11.9%( 同 6.3%)
北部九州 同12.3%( 同 7.1%)
朝ドラとは思えない数字が並ぶ。ちなみに2023年度上期の「らんまん」の全回平均は世帯視聴率が16.6%(個人9.4%)、同下期の「ブギウギ」は世帯15.9%(個人9.0%)、今年度上期の「虎に翼」は世帯16.8%(個人9.4%)だった。
「おむすび」の札幌の世帯視聴率はいつ10%割れしてもおかしくない。基準値として使われる関東の世帯視聴率は、過去最低だった「ウェルかめ」(2009年度下期)の13.5%より下になってしまう可能性も出てきた。「ウェルかめ」のころは放送開始時間が視聴者を集めにくい午前8時15分だったのだから、不調は深刻である。制作局の大阪放送局はPRを重ねているものの、関西の数字も低い。
民放のドラマ制作者とNHKの東京のドラマ関係者に「おむすび」の人気が高まらない理由を尋ねたところ、それぞれ「テンポが遅い」「家族の描写が薄い」などと指摘した。
ドラマのプロたちは現状を不思議に思っていない。
参照用に「虎に翼」の全国視聴率も記したい。
【虎に翼】9月6日(金)(第115回)
札幌 世帯 13.2%(個人8.5%)
関東 同 17.8%( 同 10.1%)
名古屋 同 15.6%( 同 8.9%)
関西 同 16.8%( 同 9.0%)
北部九州 同15.3%( 同 9.1%)
視聴率が全てと言うつもりもない。たとえばNHKの「ドラマ10 宙わたる教室」(火曜午後10時)や同BS「団地のふたり」(日曜午後10時)などは視聴率が低いものの、出色の作品である。おそらく権威あるドラマ賞を得るだろう。
ただし、ドラマ10やBSのドラマなどが自由に個性的な作品をつくる分、朝ドラと大河ドラマは大衆に広く受け入れられる作品をつくるはず。朝ドラと大河は視聴率に拘ると言い続けてきたのは当のNHKなのである。
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