ドラフトで脚光も今年の「大卒新人」にケガが多いのはナゼか? 囁かれる「コロナ禍」の悪影響とは
大学生指名は昨年より少ない
10月24日、プロ野球ドラフト会議が行われ、支配下69人、育成54人の選手が指名を受けた。注目の内野手・宗山塁(21=明大)は東北楽天、左腕・金丸夢斗(21=関大)は中日が交渉権を得ている。この2人と同様に、侍ジャパンにも選ばれた青学大・西川史礁(21=千葉ロッテ)、愛知工大・中村勝斗(21=東京ヤクルト)も1回目の1位入札で決まった。改めて彼らの実力が評価された形だが、
「多くのスカウトから、今年は『大学生が良い』と言われていました。でも、実際に指名された大学生は全体で25人。高校生が22人、社会人・独立リーグの選手が22人なので、大差はありません。1位指名された大学生が6人いましたが、昨年は9人なのでむしろ減っています。『大学生が良い』のではなく、“突出した野球センスを持った選手が、大学球界に何人かいる”ということだったようです」(在京球団スタッフ)
【写真】西川・ロッテ、宗山・楽天、渡部・西武…来季に期待が集まる大学生選手たち
その「突出したセンス」の持ち主が宗山や金丸たちなのだが、過度な期待は禁物だ。むしろ、プロ一年目となる2025年は体作りに専念させたほうが将来のためかもしれない。
「とくに金丸と宗山は無理をしてきました」(前出・同)
金丸の大学ラスト登板は、10月22日の関西学生野球連盟秋季リーグ戦・関西学院大戦だった。しかし、前日に関学大の優勝が決まっていたせいか、ネット裏のNPBスカウトも顔見知りの関係者を見つけると、挨拶ついでに談笑するなどしていた。
「この日、“金丸は投げない”との情報もありましたが、8回から1イニングを投げました。関大は無理をさせたくないと思っていたようですが、本人が志願しての登板でした。6イニング目からベンチを出て肩を作り始めると、スタンドがざわつき、結果は見事に1イニングをゼロに抑えてくれました」(アマチュア野球記者)
金丸は4年春のリーグ戦途中に、腰の骨挫傷を発症したが、昨年秋のリーグ戦から続く「自責点ゼロ」の記録はこの最終登板まで続き、計72イニングまで伸びた。途中18連勝を含む大学通算成績は、20勝3敗。関大を3度のリーグ戦に導いた実力は、今年3月の侍ジャパンでの欧州戦でも証明された。だが、最速154キロとも報じられてきた金丸は故障後、ごく普通の変化球投手になってしまった、というのだ。
金丸は腰の骨挫傷が判明したあと、8月の大学日本代表候補の強化合宿を辞退し、8月の関東遠征でも「登板ナシ」だった。ピッチングの主体である快速球が見られなくなったのは故障した腰をかばってのことで、今の状態をさして、「体調がベストでなくても、相手に点を与えないピッチングができる」(前出・在京球団スタッフ)と評価する声も聞かれたが、3年時には右膝を痛めている。
「故障の多い選手なのかもしれません。4球団競合での入札となりましたが、いずれもセ・リーグで(巨人、阪神、DeNA、中日)、パ・リーグ6球団が入札を回避したのが気になります。今年が大学生活最後の秋季リーグ戦でなければ、治療に専念していたと思います」(前出・アマチュア野球記者)
というのも、金丸ら02年度生まれの大学生球児にとって、「大学生活最後の年」は、重大な問題を抱えているのだという。
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