目の前の子どもたちを喜ばせたい一心で… 「ぐりとぐら」「いやいやえん」中川李枝子さんは作家を志したわけではなかった【追悼】

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「子育てにこうすべきなんて答えはない」

 2015年『子どもはみんな問題児。』を新潮社から上梓している。子育てに焦ることも悩むこともないと、語りかけるようなエッセイだ。ロングセラーとなり、版を重ねている。担当編集者は思い返す。

「子育てにこうすべきなんて答えはない。24時間ずっと子どもと過ごさなくても大丈夫。親は子どもが困った時、うれしい時にそばにいることが大切だと伺って、ほっとしました。御自宅でお目にかかった時、子どもさんから送られてきた手紙やぐりとぐらの手作りの人形を大事にされていたのも印象的でした」

 59年、画家の中川宗弥さんと結婚。画太(かくた)さんを授かる。子育ての余裕のなさも幸せな緊張感だったと自身を振り返っていた。

「昨年、対談しました。車椅子姿でしたが、年上の私を気遣って下さった。気さくで飾らない様子は昔から変わりません」(あまんさん)

 10月14日、老衰のため、89歳で逝去。

 保育園の子どもたちの姿から教わり鍛えられたおかげで書くことができた。そう語る実直な人だった。

週刊新潮 2024年10月31日掲載

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