「調査報告書のでっちあげで、今も教職に復帰できず…」 取手市中3いじめ自殺、スケープゴートにされた女性教師の悲痛な告白
全面勝訴に
今年1月12日の判決は、教諭が行ったとされた6件の非違行為のすべてを否定した全面勝訴だった。
判決内容の一部を要約して紹介しよう。例えば、美恵子さんが第3学年進級後に交友関係が変化し、多くの教員や生徒たちは違和感を抱いていたが、対応せず、「いじめの関係性を固定化」させてしまったとされたことについては、
「この中学校では、第3学年進級時にクラス替えが行われているから、本件生徒の交友関係に変化があったのは不自然なことではない。また、本件生徒の交友関係の変化がそれほど重大なら、違和感を抱いた他の教員が、担任である原告に注意を払うように助言をしたり、教員間で情報交換がされるはずだが、そのようなことはなかった。それはつまり、本件生徒の交友関係の変化は、原告がいじめを疑い特別に対応しなくてはならないほど重大なものだったとは認められないことを示している」
独自に証拠調べすら行わず
自殺の引き金とされたガラス破損事件については、
「本件調査報告書中には、原告はガラスの破損は3名の連帯責任であると考えていたため、3名に対し、弁償については各生徒の保護者に確認すると伝えたとの記載部分がある。しかし、原告はこの事実を否認している。確かに、ガラスを割った女子生徒Aが弁償すると申し出たにもかかわらず、原告が3名の生徒全員に対して、弁償についてはそれぞれの保護者に確認すると伝えるべき理由はなく、記載部分は不自然である。また、本件調査委員会が、記載部分につき、いかなる資料を根拠に認定したのかは明らかではなく、記載部分を裏付ける証拠はない。原告は、時間を守って行動するよう指導をしたと考えられ、このような遅刻指導自体が不適切であったということはできない」
「本件調査委員会が~記載部分を裏付ける証拠はない」との一文は、判決文の他の箇所でも同様の記述が見られる。つまり裁判所は、調査委員会の調査結果そのものを疑問視し、県教委がこのずさんな調査報告書に依拠し、独自に証拠調べすら行っていないことを問題にしているのである。
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