「調査報告書のでっちあげで、今も教職に復帰できず…」 取手市中3いじめ自殺、スケープゴートにされた女性教師の悲痛な告白
知事も関与
実はこの処分には、大井川和彦茨城県知事が関わっている。処分直後、知事は毎日新聞の記者の質問に答えて、「最初は担任の先生も減給ということだったのですが、今のいじめに対する市民感覚も変わってきているということ、さらには、報告書に書かれている生徒と担任の先生のやりとりの経緯、そういうところを踏まえて、もうちょっと再考した方がいいのではないかということで、今回、こういう処分の内容に変更してきております」と発言し、処分を重くするよう指示したことを認めている。
梶原教諭は言う。
「私は停職処分を受けるような間違った行為や指導をしたのか、何度も何度も自問自答し、処分理由を何度も何度も読み返しました。しかし、事実と食い違う部分が多く、とうてい納得できず、受け入れることはできません」
教諭側は同年10月16日、茨城県人事委員会に対し、この処分の取り消しを求める審査請求(行政不服審査法に基づく不服申し立て)を起こしたが、2021年9月7日、請求は却下された。ただし、教諭が行ったとされる非違行為6件のうち3件は、「調査報告書の記載内容よりさらに踏み込んだ評価について、処分者(県)から具体的な根拠は示されていない」という理由で否定されている。
結論ありきだった?
梶原教諭が、懲戒停職処分は違法であるとして、取り消しを求めて水戸地方裁判所に提訴したのは、2022年3月3日である。
その後、当事者双方の主張と証拠の応酬が行われたが、裁判所が、調査報告書の認定の根拠となる証拠(事情聴取記録等)の提出を茨城県に再三求めたのに対し、県は調査報告書の原資料等の提出を検討するとしながら回答を引き延ばし、結局、証拠をほとんど出さなかった。
なお、女子生徒3人による「いじめ」については裁判では検討せず、あくまで県が教諭に下した処分の妥当性に絞って審理された。
2023年9月には証人尋問、本人尋問が行われたが、県側の証人は当時の教務主任ただ1人。対して教諭側は、梶原教諭の当時の同僚2人が出廷し、当時の教諭の指導、言動が他の教員たちと比較しても特に対応を誤ったものではなかった旨を証言した。同僚2人は、梶原教諭をことさら悪者にした調査委員会の報告書に強い違和感を抱き、最初から結論ありきだったと主張している。
また、この同僚の証言で、自殺直後、両親が学校側に、「(娘に)言い過ぎた。あまり広めないでほしい。自殺したとは言ってほしくない」と話していたことも分かった。
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