「調査報告書のでっちあげで、今も教職に復帰できず…」 取手市中3いじめ自殺、スケープゴートにされた女性教師の悲痛な告白

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欠席することを事前に連絡していたにもかかわらず……

 そんな折、さらなるバッシングが梶原教諭を襲った。保護者会を突如欠席したと、強く指弾されたのだ。

「2018年3月24日に行われた保護者会について、私は欠席することを市教委に事前に連絡していました。

 私は、市教委による執拗(しつよう)な尋問を受けた後うつ病になり、主治医からも『無理をしてはいけない』と言われ、診断書もすでに市教委に提出してありました。

 ところが市教委は、当日の保護者会開会直前に、急に私がドタキャンしたかのように保護者たちに説明したため、美恵子さんの父親が、『這ってでも来いよ!』と激高。他の保護者たちも、『今すぐ連れて来い』『迎えに行ってください』などと、私を無理やりにでも連れてくることを要求し、大騒ぎになったそうです。さらにこの“ドタキャン”がマスコミで大きく報じられ、私は世間から誤解を受け、ネットで攻撃されました」

 茨城県教育委員会が2019年7月25日、梶原教諭に停職1カ月の処分を言い渡した時、同時に、校長、教頭ら、教諭の当時の上司5人も減給10分の1(12カ月~3カ月)や戒告処分にしたが、教諭の処分はそれらと比較してかなり重い。

「絶望的な気持ちでした。なぜ事実でないことが処分理由になるのか全く納得できませんでした。それまで教員として誠実に職務をこなしてきた自負があります。それらがすべて否定されたように感じました」(梶原教諭)

六つの違反行為

 処分の理由としては具体的に以下の(1)~(6)が非違行為(違反行為)とされた。

〈(1)当該生徒が第3学年進級後に交友関係が変化し、多くの教員や生徒たちは違和感を抱いていたが、対応せず、「いじめの関係性を固定化」させてしまったこと。

(2)生活アンケート結果で、「いじめなどを心配しないで安心して生活している」というアンケート項目について「あまりそう思わない」「そう思わない」と回答した生徒が3人いたが、具体的にどのような事実に基づいて回答したのか聴き取るなどの対応をしなかったこと。

(3)当該女子生徒の個別アルバムへの書き込みについて、書き込まれた内容を確認していなかったことなど、担任としていじめを認知しうる状況にありながら、適切な対応を怠った。また、学級経営や生徒指導での当該生徒への言動が、クラス内の生徒の関係性に変化をもたらし、当該女子生徒へのいじめを誘発、助長したこと。

(4)進路指導の際、当該女子生徒に誤った情報を伝えるなどしたこと。

(5)他の女子生徒と行動を共にすることで授業に不本意に遅れた当該女子生徒を叱責し、進学に向けての不安感、焦燥感を与えたこと。

(6)特に、当該生徒が自殺を図った日に起きたガラス破損事件につき、自殺の引き金になる不適切な指導を行ったこと。〉

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