大谷翔平「50-50」ボールを落札した“台湾企業”の胸算用 現地でも無名な「富裕層向け投資ファンド」の正体とは

スポーツ 野球

  • ブックマーク

世界中の野球ファンにとって「聖杯」

 同社が発表した声明文は以下の通りだ。

〈UCキャピタルは、当社の本業である投資の世界だけでなく、企業の社会的責任も果たしています。(大谷翔平選手による)この歴史的な記録となった50本目のホームラン記念ボールは、世界中の野球ファンにとって「聖杯」です。そのため、我々はこの歴史的価値を持つボールを台湾に持ち帰り、歴史的瞬間を分かち合えることを非常に光栄に感じています。
 当社のAIシステムは、世界中の価値あるコレクション対象を常に追い求め、美しいものを保有しています。今後も大谷翔平選手が世界の野球界に与えるインパクトをさらに高めていくと信じ、(記念球を落札した)この度の決定が意義ある事だと確信しています。
 我々は台湾と日本の各機関・団体と協力し、ファンが間近に(記念ボールを)鑑賞できる公益展示を企画できる日を楽しみにしています。そしてそれが台湾野球の発展を促すだけではなく、台湾の存在を世界に広めることも目指しています〉

 あえて全文を紹介したのは、記念ボールを落札した達成感と、「台湾の存在を世界に広める」という大上段から振りかぶったコメントに並々ならぬ意志が感じられたからだ。

 台湾でこれだけの騒ぎになるのも「50−50ボール」の持つ重要性の表れではある。たったひとつのボールがもたらす社会への影響に、今後も注目していきたい。

広橋賢蔵(ひろはし・けんぞう)
台湾在住ライター。1965年生、1988年北京留学後、1989年に台湾に渡り「なーるほどザ台湾」「台北ナビ」編集担当を経て、現在は台湾観光案内ブログ「歩く台北」主宰。近著に『台湾の秘湯迷走旅』(双葉文庫)などがある。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。