大谷翔平「50-50」ボールを落札した“台湾企業”の胸算用 現地でも無名な「富裕層向け投資ファンド」の正体とは

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 米大リーグ史上初の「50本塁打、50盗塁」を達成したロサンゼルス・ドジャーズの大谷翔平選手。その記念ボールが競売にかけられ、10月23日、439万2000米ドル(約6億6000万円)で落札された。後に、落札したのが台湾企業だったことが発表されると、台湾メディアは騒然となり、25日夕刻には落札した投資ファンド企業「優式資本(UCキャピタル)」が声明を発表することに。果たして、どんな企業なのか?【広橋賢蔵/台湾在住ライター】

台湾でもまったく無名の新興企業

 そもそも、「UCキャピタル」は台湾人にとっても無名の会社だった。当初は報道でも、「101ビル(台北市内の最高層建築)にヘッドオフィスを持つ投資企業らしい」という程度の情報しかなく、台湾に住む筆者の知人らも「聞いたことなかったけど、ごく限られた富裕層向けの投資ファンド会社みたいです」という反応がほとんどだった。また、同社のオーナーである劉興漢(リウ・シンハン)氏という人物も、これまでメディアで派手に紹介されたことはない。

 とはいえ、「UCキャピタル」に対する台湾の人々の反応は「TaiwanNo.1」「台湾最強」「台湾企業がやってくれたのか? スゴイ」(『民視新聞網』)などと好意的だ。

 謎のベールに包まれたこの企業について、現地紙『三立新聞網』が報じたニュースから探ってみよう。

 同紙によれば、UCキャピタルは設立からまだ20年も経たない新しい企業で、主要な取引商品は〈株式、ETF(上場投資信託)、ワラント、先物とオプション、転換社債〉となっており、〈月間取引額は2000億台湾ドル(約1兆円)〉を超えるといわれる。が、会社の資本金は〈1億台湾ドル(約4.7億円)〉で、記念ボール購入費は資本金を上回る金額だったことになる。

 企業側の説明によると、独自の取引戦略を開発して自社資金のみで運用し、外部からの資金調達は行わず、年間の取引量は中規模の証券企業並み、あるいは台湾のトップ証券会社の自己売買部門の取引量に相当する規模になるという。

 では、急速に業績を伸ばした新興の金融企業は、どんな目論見から大谷翔平の「50-50」ボールに目をつけたのか。

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