どこに不倫する“隙”が?幼なじみと地元で築いた幸せな家庭…42歳夫の「世界」が揺らいだ出来事
オレを救ってくれたのは葵だ
20歳を過ぎてから、葵さんとは恋人として付き合うようになった。早く結婚してもいいんじゃないのと周りに言われつつも、ふたりは自分たちの経済的基盤をきちんとさせてからと決めていた。
葵さんの妊娠がわかったのが25歳のとき。そのとたん、両家がいっせいに動き出して結婚へとなだれこんだ。もちろん、親も地元の友だちも、みんなが祝福してくれた。
「初めてみんなの前で言いました。オレを救ってくれたのは葵だ、と。葵がいなかったら、僕はこの世にいなかったかもしれない。葵のためにこれからの人生を捧げたい、と。本心でしたよ、もちろん」
若気の至りというか、若かったからこその一直線な思いではあったけれど、と彼は小声でつけくわえた。
「ただ、結婚というものに抵抗はなかったし、早く楽しい家庭を作りたいとは思っていました。その相手としては葵しかいませんでした。両家は相変わらず行ったり来たりでなかよくしていたので、僕らも近所に住んだんです。すぐに親やきょうだい、友人たちが年中立ち寄ってワイワイにぎやかになっていました」
26歳で長男、28歳で次男と三男の双子が生まれた。葵さんは「どんなに子どもが産まれても、この環境なら誰かが見てくれるわよね」と笑っていたという。子育てには最適だったし、「みんなが適当」だったから、誰も窮屈な思いをしていなかったはずだと由晴さんは言う。
「何の不満もなかった。うちの妹や義妹も結婚して近所に住み、みんなやたらと仲がよかったですねえ。しかも誰も我慢せず、みんながのびのびしていた。両家の両親が温かかったからだと思います」
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