どこに不倫する“隙”が?幼なじみと地元で築いた幸せな家庭…42歳夫の「世界」が揺らいだ出来事

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警察沙汰に駆けつけてくれたのは

 地元のワルとつるんで遊ぶようになったのもこの時期だ。やることがない、やる気もないのに体力だけは余っている。エネルギーを放出させる場がなかった。

「あちこちでケンカばかりしていましたね。あるとき、警察につかまって親が呼ばれたんですが、すでに何度目かだったから親が拒否したみたいなんですよ。そうしたら葵と葵の両親が駆けつけてくれた。葵は目に涙を浮かべて『よっちゃん、本当はいいやつなんです。今はつらい時期だけど、私が絶対に立ち直らせます』って。葵の両親も『私たちが引き受けますから』と言ってくれて。いくら仲がよくても、やはり葵一家は他人ですからね。なんだか肩身が狭いような、オレ何やってんだという気持ちにはなりました」

 帰りに葵さんの家でごはんを食べさせてもらった。深夜に近い時間だったが、葵さんの両親は「よっちゃんもバカじゃないんだからさ、自分の人生を自分で台無しにするようなことはしないほうがいい。わかってるだろうから、これ以上は言わないよ」と言ってくれた。葵さんは「こんなときによく食べるね、よっちゃんは」と笑った。それを機に場が和んだ。

「うちの両親が迎えに来てくれました。結局、葵の両親がうちの親を説得して、警察に行かないように仕向けたらしいです。やっぱり親が来ると甘えたりわがままが出たりするから。なんだよ、大人の計画に乗せられただけかと思ったけど、みんなが心配してくれていることはよくわかった。暴れるだけ暴れたし、そろそろみんなが言うように自分の人生を考えようと思いました」

 結局、由晴さんは父親の勤める工場で職人見習いとして働きながら、定時制高校に通った。高校はほとんど休むこともなく、優秀な成績で卒業したという。葵さんは一足先に、公務員となっていた。

「大学に行く選択肢もあったけど、何か勉強したいというわけでもなかったから、職人としてやっていくことに決めました。まだまだスキルを磨きたかった。工場一の職人になってやると」

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