泥沼にハマった中日の“首位打者”も…「逆日本シリーズ男」が陥った大不振

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 10月26日に開幕する日本シリーズ。クライマックスシリーズ(CS)同様、短期決戦とあって、過去にはシーズンで活躍し、チームの優勝に貢献した主砲が不振に陥り、“逆シリーズ男”になった例も少なくない。【久保田龍雄/ライター】

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シーズンでは絶好調だったのに…

 シーズンでは首位打者だったのに、シリーズでは17打数1安打0打点に終わったのが、2007年の日本ハム・稲葉篤紀である。

 稲葉は前年の日本シリーズでは、第4戦の5回に貴重な2点タイムリー二塁打を放つなど、17打数6安打2本塁打で、チーム最多の7打点を記録。“シリーズ男”として日本一に貢献し、MVPにも輝いた。

 07年もシーズンでは打率.334、17本塁打、87打点で自身初の首位打者を獲得、ソフトバンクとのCSファイナルステージ第2戦でも、0対0の9回にラッキーなサヨナラ内野安打を放ち、チームを2年連続の日本シリーズに導いた。

 だが、日本シリーズでは、まるでツキが落ちたように、当たりがピタリと止まってしまう。

 第1戦では、初回に四球で出塁し、セギノールの先制3ランをアシスト、3対1で勝利したものの、中日・川上憲伸にわずか2安打に抑えられた打線を象徴するかのように、2打数無安打に終わる。第2戦も4打数無安打、第3戦も3打数無安打に終わり、チームも1勝2敗と苦しくなった。

 そして、第4戦の3回2死、稲葉は中堅フェンス直撃の二塁打を放ち、13打席目に待望のシリーズ初安打が飛び出したが、得点に結びつかない。チームも逆転負けとあって、報道陣の「1本出ましたね」の問いかけにも、「うん……」と力なく答えるだけだった。

 王手をかけられた第5戦も、山井大介、岩瀬仁紀のパーフェクトリレーの前に3打数無安打と快音が聞かれず、敵将・落合博満監督の胴上げを目の当たりにすることになった。

「シリーズで初めて見た相手の胴上げをしっかり目に焼きつけておこうと思う。この悔しさが来年のバネになります」と雪辱を誓った稲葉は、2012年の巨人との日本シリーズでは打率.391、1本塁打、2打点と結果を出したが、勝利の女神は微笑まず、2勝4敗で日本一を逃した。

日本シリーズと相性が悪すぎた選手

 出場した日本シリーズがことごとく“鬼門”となったのが、福留孝介である。

 まず中日ルーキー時代の1999年、ダイエーとのシリーズ第1、2戦で1本ずつ安打を記録も、第3戦以降は無安打に終わり、通算18打数2安打5三振0打点。1勝3敗で迎えた第5戦では、1対0とリードの3回1死満塁のピンチで痛恨のタイムリーエラーを犯し、一挙6失点のきっかけをつくるなど、「最後の最後であんなミスをするなんて力不足」とほろ苦い初シリーズとなった。

 2度目のシリーズ出場をはたした2006年は、シーズンでは打率.351で2度目の首位打者、31本塁打、104打点と文句なしの成績を残し、7年前の雪辱が期待された。

 だが、第2戦の4回に勝ち越しソロを放ちながら、終わってみれば2対5の逆転負け。第3戦でも初回に先制タイムリーを放つなど、マルチ安打を記録も、チームは1対6と連敗した。

 そして、第4、5戦の2試合では8打数1安打0打点とバットが湿り、通算20打数4安打2打点7三振と首位打者らしからぬ成績で、日本ハムの日本一を許す結果となった。

「まあ仕方がない。これで野球が終わったわけじゃないし」と出直しを誓った福留は、その後、メジャー挑戦を経て、阪神時代の2014年にシーズン2位からCSを勝ち抜いて3度目の日本シリーズに出場した。
 
 だが、15打数3安打2打点7三振に終わり、チームも1勝4敗で敗退。中日時代の04年は左手人差し指骨折、チームが日本一になった07年も右肘手術でいずれも日本シリーズを棒に振った不運も含めて、逆シリーズ男のイメージを払拭することができなかった。

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