【追悼・西田敏行さん】「体重何キロですか?」「ヒ・ミ・チュ」…「山田邦子」が語るNHK大河「八代将軍吉宗」共演秘話

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 10月17日、都内の自宅で虚血性心疾患のため76歳で亡くなった俳優・西田敏行さん。コメディからドスを利かせたヤクザまで何でも演じることができたが、なかでも数多く出演したのがNHKの大河ドラマだった。「新・平家物語」(1972年)にはじまり「鎌倉殿の13人」(2022年)まで実に14作に出演、うち4作で主演。大河史上最多の主演だった。1995年に放送された西田さん主演の「八代将軍吉宗」で共演した山田邦子(64)が当時を振り返る。

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「八代将軍吉宗」はジェームス三木氏のオリジナル脚本で、主役は言わずとしれた徳川吉宗。いわば「暴れん坊将軍」(テレビ朝日)の大河版だが、ご存知のように江戸中期は太平の世で、将軍自らが暴れ回ることはなかった。コメディの要素もある当時としては珍しいタイプの大河だったが、視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)は平均26・4%、最高31・4%と好調だった。

山田:大河に出るのは初めてだったので、お姫様の役ができる!と思っていたら、まさかの西田さんの母親役……向こうのほうがずっと年上なのに、これはどういうことなんだ!と思いました。

――山田が演じたのは、紀州藩主・徳川光貞の側室で吉宗の母・お紋(のちの浄円院)。

山田:お紋は農民の出なので、序盤は足袋すら履かせてもらえない扱いでした(笑)。でも、彼女は長生きして吉宗を見守った良き母で、臨終のシーンまであったので、長い間、出演することができました。

――カメラの裏で西田さんは、大河初出演の彼女の緊張をほぐそうと、一生懸命ふざけてみせたという。

リハーサルと本番の違い

山田:リハーサルの時、壁を蹴り飛ばしたり襖を足で開けてみたり、わざと荒っぽいことをして「これくらいの気持ちでいいんだよ」なんて声をかけてくれました。実際、それでずいぶん緊張が和らいだんです。

――おかげで記憶に残っているのは、笑わせてもらったことだと言う。

山田:西田さんが正座をするシーンの後で、「足が痺れたーっ! 俺、足が短いだろ」なんて言って。みんなが正座するシーンだと、西田さんは短足だから他の人と座高とか膝の位置が違うんですよ。座高はやたら高いのに、足だけはチョコンと小さい。全体を眺めていると、遠近法で西田さんだけ奥のほうにいるように見えちゃって、「西田さんだけ後ろに座ってんじゃないですか?」とからかったら、「うるせえっ!」って笑ってました。

――もちろん本番ではガラッと変わった。

山田:本番に入った時の気迫は凄くて、それを間近で見ることができたのは私にとっても財産になりました。本当に心底良い役者さんだなと思いました。西田さんは猪八戒(「西遊記」日本テレビ)から義理の娘の育て方に悩む玄太(「池中玄太80キロ」同前)、釣りバカの浜ちゃん(映画「釣りバカ日誌」)、欲と野望の蛭間教授(「ドクターX~外科医・大門未知子~」テレ朝)などなど、色々な役を演じられてきましたけど、一方でどれをやっても西田敏行でした。吉宗でありながらやっぱり西田さんでもあるという、そこが凄いなと思いました。

――一緒に飲みに行って、失礼な質問もしたという。

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