「花粉症にならないの?」「花言葉には詳しい?」 町の「花屋さん」に訊いた「頭を抱えてしまう注文」とは

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コロナ禍の花屋

 コロナ禍がどうだったかは本連載で各業種の人たちに聞いているが、花屋も例にもれず大変だったようだ。

 感染拡大防止によって中止や延期、縮小になったイベントは、冠婚葬祭やコンサート、発表会、歓送迎会といった花が必須なものばかり。特に影響が大きかったのは感染 拡大直後の2020年冬から春先だという。

 得体の知れない未知のウイルスに社会は大混乱。イベントが急遽中止になるケースが相次いだ。この時期にあったのは、正月、バレンタイン、ホワイトデー、卒業式、入学式など、やはり花が欠かせないイベントばかりだ。イベントに合わせて花を育ててきた農家はじめ、市場、店は出荷できず大打撃を受けたという。

「花屋は女性の割合が多い。そのため社会的弱者から首を切られた影響が大きかった業界だとも言えますね」

 この時に問題になったのは、経済的打撃だけではない。「フラワーロス」だ。

 食品にも「食品ロス」という言葉があるが、食べ物はどんな時でも人間が必ず消費する。しかし、こうしたイベントごとに使用される生き物は、当時誰にも愛でられないまま大量の廃棄を生んだという。

 一方、コロナ禍に利益が上がったという花屋もある。

「まわりの花屋が休業するなか、うちだけ開けていたこと、そして、そもそもイベント参加やウエディングなどがあまりなく、店売りが主な収入源だったことが要因かもしれません」

「コロナ禍、家で過ごす時間が増えたので、家の中の時間を工夫する動きが広がり、家に花を飾るとか植物を育てるという動きもありました」

 昨今の物価高の影響で花の小売価格も値上がりしているが、冒頭で紹介したように、高齢者が1人でやっているような採算ギリギリのなか続けていた小さな花農家は、このコロナの時期に多く潰れた。これにより農家の絶対数が減少。花の流通量が減り、結果、花の単価が値上がりしたという声もあった。

 どの業界にも言える話だが、コロナは世の中を大きく変えた。

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