「花粉症にならないの?」「花言葉には詳しい?」 町の「花屋さん」に訊いた「頭を抱えてしまう注文」とは

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商売敵は「花粉」

 ここで1つ、個人的にしょうもないことが気になった。花屋は「花粉症」にならないのだろうか。

「あります。薬を飲むか気合いです。配達や仕入れでクルマのハンドルも握るので、眠くならないように注意しています」

「実際に私もミモザの花粉症を発症しました。どうしようもないのでマスクをする、手袋をする、他のスタッフに任せてなるべく触らないようにするなど、普通の対応をするしかないですね」

「花粉症に限らず、アレルギーなどを発症してしまう例も。花の種類や科によってアレルギーの有無が変わる場合が多いので、苦手な花にさわらないなどの対策をします」

 しょうもないことばかり気になりはじめたので、もう1つ花屋は“花言葉”に詳しいのか聞いてみると、意外な答えが返ってきた。

「これは自分の体感ですが、花屋さんで花言葉を知っている方は少ないように思います。ネガティブな言葉には気を付けるくらいかと思いますね」

「むしろ、知りすぎていると逆に花合わせが難しくなる(ネガティブな花言葉が有名なものは使いづらくなる)ので、勉強しないようにしていました。ただ、『プロポーズには108本のバラ』など王道のものはみんな知っていると思います」

 ちなみに108本のバラの値段は2~6万円ほど。恥ずかしながら、筆者はバラ108本がプロポーズの意味を示しているとは知らなかったので調べてみると、「108」で「永久(とわ)」と読むからだそうだ。

 日本人はなんとも語呂合わせが好きである。

 しょうもない話の極みで申し訳ないが、この話で思い出したのが渋谷の109だ。筆者が日本語教師をしていた頃、渋谷の有名なショッピングビルがなぜ109なのかを教えた時の外国人学生のハトが豆鉄砲を食らったような顔を思い出した(「109」で「東急(とうきゅう)」)。

 一方、こうした花言葉に敏感な花屋ももちろんいる。

「弊社の周辺は大使館も多いことから、お祝い用途の花やお悔やみ用途の花が国ごとに変わります。そこの予備知識は必要です」

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