取手市「中3いじめ自殺」10年目の真実に迫る なぜ調査報告書はでっちあげられたのか

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学校は休めないと思い込ませた可能性が

 具体的に何が書かれていたのか。一例を挙げると、美恵子さんは東京の音楽科のある私立高校を第1志望としていた。ところがその場合は県立高校は併願できないと教諭が指導したというのだ。

「学校の取扱いとは異なった誤った指導であった。私立高校の一校受験でよいかどうかは『今後の生活態度を見て決める』と言ったことにより、本件生徒と母親は、2学期は学校を休むことができないと考えるに至った。(中略)いじめに苦しむ本件生徒をして絶対に学校は休めないと思い込ませた可能性があり、担任教諭の言動によって本件生徒が心理的負担を感じた可能性を否定できない」(報告書概要版)

 これに対して教諭は、県立高校は併願できないと言った事実はなく、「今後の生活態度を見て決める」と言ったこともない。当時いじめで苦しんでいたとは全く思っていなかったと、調査委員会の聴取の際に強く否定していた。だが報告書はこれを事実としている。

飛躍した結論

 次は生活指導である。美恵子さんと、彼女をいじめたとされる生徒A、Fがそろって担任教諭の授業に遅刻した時のことである。

「担任教諭は遅刻した3名の生徒全員に教室の前に来るように指示したが、生徒A、Fは指示に従わず、指示に従った本件生徒のみに対してクラスの生徒の前で(中略)、叱責した」(同概要版)

 要は教諭が3人に、遅れてきた理由を聞こうとしたところ、AとFは指示に従わず席に座ってしまったため、指示に従った美恵子さんに、「なんで遅れたの?」と聞いただけである。叱責はしていない。さらに問題なのは、この出来事から次のような飛躍した結論を導き出していることである。

「この指導は、(中略)本件生徒にいじめを行った生徒にとって、担任教諭に対して優位に立っているという意識を持たせることとなり、本件生徒に対するいじめなどの問題行動を助長するといった結果をもたらし、『いじめ関係性』を固定化し、新たないじめを誘発させうる土壌を作ってしまった」(同概要版)

 いじめをしたとされた生徒が実際にこのような心理状態になったのかどうか、根拠は何も示されていない。単なる想像、推測の域を出ず、「担任教諭の指導がいじめを誘発、助長した」とする証拠は報告書のどこを探してもない。

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