取手市「中3いじめ自殺」10年目の真実に迫る なぜ調査報告書はでっちあげられたのか

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美恵子さんを「くさや」と呼んでいたという情報が

 そこで両親は17名もの生徒を自宅に何度も呼んで、独自の聞き取り調査を行った。その結果、いくつかのいじめの事実が浮かび上がったという。美恵子さんはクラス内で5、6人の親しいグループと常に行動を共にしていたが、その内の3人にいじめられていたというのだ。彼らは美恵子さんを「くさや」と繰り返し呼び、附箋紙に「くさや」と書くなどした。また、美恵子さんに視線を送りながら意味ありげに他の生徒に耳打ちをしたり、体育の授業中、バスケットボールのチーム分けの際、美恵子さんを仲間外れにしたという。

 さらに、2016年3月の卒業時に、学校が両親に手渡して判明したことだが、親しい生徒同士が互いに、めいめいのアルバムにコメントを書き合う個別アルバム(思い出アルバム)に、いじめ加害者のうちの2人が、「ほんとうんこだよ」「クソってるね」などと美恵子さんへの心ない言葉を書き連ねていた。しかしこの後に、「うっそよ~ん 大好き あいしてる」とフォローしており、気のおけない友達同士のふざけ合いにも思える。

文科省からの圧力

 だが両親はこうした事実から、娘の自殺はいじめ防止対策推進法が規定する「いじめによる重大事態」に当たると主張した。しかし取手市教育委員会は、これらの軽微ないじめが自殺につながったとは判断できないとして、「いじめによる重大事態」に指定しなかった。

 両親はこの教育委員会の判断に怒り、2017年5月、文部科学省を訪れ抗議。これを受け文科省は、取手市教育委員会に対し、いじめによる重大事態として認識すること、ご遺族に寄り添うように努めることなどを助言したのだった。

 このため市教委は先の判断を撤回、「いじめはありました」と両親に謝罪した。さらに、市が設置した最初の調査委員会を解散し、同年12月に県知事のもとに新たな調査委員会が設置された。その委員の人選などは両親の希望を入れて調査を開始し、2019年3月に報告書を公表したのである。

 同報告書の中核は次の部分である。

「本事案は、担任教諭の学級運営や指導等の言動が、クラス内の生徒の関係性に変化をもたらし、本件生徒に対するいじめを誘発し、助長した、という点に大きな特徴がある」

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