北朝鮮のロシア派兵に専門家は「病人同士が手を組んだ」と指摘…懸念すべきは北朝鮮の“核ミサイル技術”が飛躍的発展という悪夢

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 第1回【ウクライナ侵攻に「北朝鮮」が本格参戦 最強の特殊部隊「暴風軍団」が投入も…ロシア軍からの“食糧も与えられない”冷遇が発覚】からの続き──。北朝鮮の金正恩総書記と、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は6月19日に会談を行い、その後「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。(全2回の第2回)

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 条約は23の条項からなっており、例えば第4条には「両国のどちらかが侵攻され、戦争状態となった際は遅滞なく支援を行う」とあるなど、軍事同盟の色彩が強いことは明白だろう。

 だが、一見すると軍事的要素が感じられない記述のほうが、かえって怖いという条項もある。NHK NEWS WEBが6月20日に配信した「北朝鮮 ロシアとの新条約全文公開 “戦争状態で軍事援助”明記」との記事から引用させていただく。

《また、科学技術では宇宙やAI=人工知能などのほか「平和的原子力」に関する協力を進め、共同研究も積極的に奨励するとしました》

 担当記者は「引っかかるのは《宇宙》の部分です。北朝鮮は宇宙開発に尋常ではないほど注力をしていますが、これが核ミサイル開発と同義であるのは明らかです」と言う。

「そして言うまでもありませんが、ロシアが持つ宇宙開発技術は世界トップクラスです。技術供与が行われ、北朝鮮の核ミサイル技術が大幅に発展したり、スパイ衛星の打ち上げなどに成功したりすると、極東の軍事バランスが著しく崩れてしまいます。それどころかロシアと北朝鮮が結びつきをさらに強めれば、ロシアのICBM(大陸間弾道ミサイル)を北朝鮮の国内に配備することも理論的には可能です。日本にとっては非常に脅威となることは言うまでもありません」

希薄だった露朝関係

 防衛大学名誉教授の佐瀬昌盛氏は、東京大学大学院で国際関係論を学び、ドイツの国立ベルリン自由大学に留学するなど、東西冷戦研究の第一人者として知られる。

 1974年から2000年まで防衛大学校の教授を務め、2007年には集団的自衛権に関する憲法の見直しを検討すべく、当時首相だった安倍晋三氏の私的諮問機関の有識者委員も務めた。ロシアと北朝鮮の接近を佐瀬氏はどう見るのか、取材を依頼した。

「何より重要なのは朝鮮戦争の時代から、北朝鮮は北京の動向は細かく見ていても、モスクワの意向に注目することはほとんどなかったという事実です。実際、朝鮮戦争の激戦が続いている中でもロシアは意外に冷淡な姿勢で、義勇軍を派遣した中国とは対照的でした。このように中朝関係は密接な時期が長く続きましたが、露朝関係は希薄だったと言ってもも過言ではありません。しかもプーチン大統領はKGB出身であり、彼は東ドイツで諜報活動に従事していました。つまり米欧関係には精通していても、極東情勢に関する知識は少ないと考えられるのです。例えば彼は柔道こそ好きですが、いわゆる知日家としての側面は全くありません」

 実際、6月にプーチン大統領が平壌を訪問したのは、何と24年ぶりのことだった。ロシアがウクライナを侵略しなければ、ここまで両国が密接な関係を結ぶことはなかっただろう。

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