ウクライナ侵攻に「北朝鮮」が本格参戦 最強の特殊部隊「暴風軍団」が投入も…ロシア軍からの“食糧も与えられない”冷遇が発覚

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食糧を与えられない兵士

 1500人という兵士は、いわゆる先遣隊のようだ。最終的には暴風軍団を中心に1万人を超える兵士がロシアに送られ、戦場でウクライナ軍と戦う可能性があるという。

 ところがどうも、ロシア側は暴風軍団をあまり“歓迎”していないようなのだ。朝鮮日報の日本語電子版は10月22日、「『ロシア当局が脱走した北朝鮮兵18人を拘禁…食糧を受け取れず陣地を離れる』 ウクライナ・メディア報道」との記事を配信した。

 記事によると10月18日、ウクライナ軍は朝鮮日報に「ロシアのクルスク州とブリャンスク州の間、ウクライナ国境から約7キロメートルの地点で北朝鮮兵士が集団脱走し、ロシア軍が彼らを捜している」と伝えていたという。

「注目ポイントは脱走した場所がクルクス州と報じられたことです。クルクス州は8月にウクライナ軍が奇襲作戦で越境攻撃を行い、今も州の一部を占領しています。これまでロシア軍はなぜかクルクス州で反撃らしい反撃を行わず、謎とされていました。軍事の専門家が様々な分析や推測を発表してきましたが、今回の脱走騒動でロシア軍が暴風軍団にクルクス州のウクライナ軍を攻撃させようとしている可能性が浮上しました。これが本当だとしたら、ロシア軍の兵員不足は深刻なのかもしれません」(同・記者)

 朝鮮日報の取材によると、暴風軍団の兵士が本気で脱走したかどうかは分からないようだ。脱走の嫌疑がかけられているのは暴風軍団の兵士約40人。彼らはロシア国内で訓練を受けた後、クルクス州内の森林地帯に配備された。ところが何の指示もなく、数日にわたって食糧さえ与えられなかった。

囚人兵よりはマシ!?

 約40人の兵士は陣地を離れていたところを発見され、“脱走兵”として拘束された。だが、彼らはロシア軍に「ロシア軍司令部を探すために陣地から離れた」と反論しているという。もし本当に数日にわたって放置され、食糧も届かなかったとしたら、彼らの気持ちも理解できないではない。

「これまでの北朝鮮軍は文字通りの“井の中の蛙”でした。国自体が国際的に孤立していたので、北朝鮮軍はロシア軍や中国軍と合同の軍事演習を行ったことがありません。さらに末端の兵士となると、農業に従事させられたり、暖を取るために燃やす流木を川で拾わされたりしているという情報が多く、軍としては崩壊しているとの指摘も根強かったのです。暴風軍団がどの程度戦力になるのか、これは北朝鮮軍の幹部でも『やってみなければ分からない』のが本音でしょう。ただしロシア軍は以前、恩赦を条件に囚人を兵士とし、激戦地に投入したことがあります。『囚人兵よりは戦力になるはず』と考えているのかもしれません」(前出の軍事ジャーナリスト)

 これまで北朝鮮はロシアに軍事支援を行っており、北朝鮮の弾薬や砲弾、対戦車ミサイル車両「火の鳥4号」などがウクライナの戦場で確認されている。

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