秋ドラマ10本「視聴率ランキング」 趣里の演技が出色の「モンスター」 安定した脚本の「日曜劇場 海に眠るダイヤモンド」

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「嘘解きレトリック」は実力派の2人

4位:フジ「嘘解きレトリック」(月曜午後9時)
平均値3.9%/初回4.1%(同7日放送分)と第2回3.7%(同14日放送分)

5位:フジ「オクラ~迷宮入り事件捜査~」(火曜午後9時)
平均値3.65%/初回4.3%(同8日放送分)と第2回3.0%(同15日放送分)

6位:フジ系「モンスター」(月曜午後10時)
平均値3.6% 初回(同14日放送分)

「嘘解きレトリック」の主演は2人。ともに若いが実力派の鈴鹿央士(24)と松本穂香(27)である。松本の確かな力は主演映画「みをつくし料理帖」(2020年)などで証明されている。

 鈴鹿の役柄は心優しき名探偵・祝左右馬。松本はその助手役で、相手の嘘が見抜けてしまうという特技を持つ。作風は全体的に落ち着いている。

 時代設定はまだ戦争が遠く、自由な空気が漂っていた昭和初期。約100年前の街の雰囲気や人々の暮らしも楽しめる。

「オクラ」の主演は反町隆史(50)と杉野遥亮(29)。役柄は警視庁捜査1課特命捜査情報管理室の刑事。2人がお蔵入りした未解決事件を追う。

「モンスター」は趣里(34)にとってプライム帯の連ドラ初主演作。仕上がりが良いので、人気が高まっていきそう。

 役柄は高卒の弁護士・神波亮子。やたら態度が大きく、嫌味な人間だ。法廷で証人らに対し「嘘つき」などと言い放つこともある。

 ただし、頭脳明晰で法廷戦術にも長けている。腕利きだ。裁判はゲームであり、ゲームには絶対勝つことを信条としている。

 同局系「僕の生きる道」(2003年)などを書いてきた橋部敦子氏の脚本が光る。趣里の演技も出色だ。

 NHK連続テレビ小説「ブギウギ」(2023年度下期)で演じたヒロインの福来スズ子役は天真爛漫だったが、今回の亮子は一転してブラックな雰囲気。それを無理なく演じ、演技の幅の広さを見せつけている。

7位:日テレ「放課後カルテ」(土曜午後9時)
平均値3.4%/初回3.0%(同12日放送分)と第2回3.8%(同19日放送分)

8位:TBS「あのクズを殴ってやりたいんだ」(火曜午後10時)
平均値3.4%/初回3.6%(同8日放送分)と第2回3.2%(同15日放送分)

9位:「D&D ~医者と刑事の捜査線~」(金曜午後9時)
平均値3.3%/初回(18日放送分)

10位:TBS「ライオンの隠れ家」(金曜午後10時)
平均値3.05 %/初回2.8%(同11日放送分)と第2回3.3%(同18日放送分)

「放課後カルテ」は主演の松下洸平(37)が小学校の学校医・牧野峻に扮している。構成に安定感がある。

「あのクズを殴ってやりたいんだ」はこの放送枠の十八番であるラブコメ。主演の奈緒(29)がボクシングを習う市役所職員・佐藤ほこ美に扮している。ボクシングを習う目的は、一度は惚れたクズ男・葛谷海里(玉森裕太)を殴るためだ。

「D&D」の主演は外科医・紙木良役の藤木直人(52)と刑事・弓削文平役の寺島進(60)。放送時間帯を午後8時台から同9時台に繰り上げたのが功を奏し、個人視聴率が大幅にアップした。しかし、コア視聴率が極端なまでに低い。若い人があまり観ないのは主演2人のファンの年齢と関わっているだろう。

「ライオンの隠れ家」の主演は柳楽優弥(34)。役柄は市役所職員・小森洸人で、自閉スペクトラム症の弟・美路人(坂東龍汰)と暮らしている。

 そこへライオンを自称する謎の少年(佐藤大空)が現れ、兄弟を大混乱に陥れる。それでも警察等に届けなかったのはライオンが兄弟の異母姉・愛生(尾野真千子)の子供かも知れないから。

 ライオンには体に痣がある。虐待されていたらしい。兄弟と生き別れた愛生の身に何があったのか。ミステリー仕立てで肉親愛を問う物語。個人視聴率が上向いている。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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