“鬼の形相”で外国人投手に「チェンジ!」 “優し過ぎる”DeNA三浦監督がブチ切れて、チームを変えた日

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鬼の形相で……

「(三浦)大輔は優しすぎる」――。監督になって言われ続けてきた。ブログやSNSを見ても、オフィシャルパフォーマンスチーム「diana」を推すなど、周囲に感謝と配慮の気持ちを示すことを忘れない。モチベーターではあるが、指揮官として非情になれなかった。しかし、今季はそれが変わったと見られる部分もあった。下位チームとの対戦となった真夏の中日戦(8月20日)、ヤクルト戦(25日)で2度、あと1人で勝利の権利が得られる5回2死で、ピッチャー交代を命じた。そして阪神戦(27日)では、3点リードしていた7回から登板したウィック投手が二者連続四球をきっかけに無死満塁のピンチをまねくと、三浦監督自ら交代を告げるべく、マウンドに向かった。ウィック投手が「No!」と大声で抵抗すると、鬼の形相で睨みつけ「チェンジ(交代)!」と怒鳴りつけた。試合後、三浦監督は「よく覚えていませんよ」と笑顔で繰り返していた。「多くの選手が“あんなにブチ切れた監督は初めてみた”と話していました。チームにスイッチが入った瞬間だった」(横浜担当記者)

続投発表

「昨年は最多勝(東克樹)、最多奪三振(今永翔太)、首位打者(宮崎敏郎)と投打にタイトルホルダーを輩出しましたが、それでも勝ち切れなかった。三浦監督は、セオリー通りの作戦を取ることが多く、試合展開によって臨機応変に振る舞えない。つまり相手に戦術を読まれやすいんです。采配に疑問が残る試合が多く、中には監督を変えれば横浜は優勝できると口にする解説者もいました」(夕刊紙記者)

 そんな三浦監督を“後押し”したのは横浜が今季新設した「ハイパフォーマンス部」だ。横浜ではDeNAが買収してから「IT戦略」を球団に積極的に導入。データの活用方法などを選手により深く浸透させるよう尽力してきた。今季はそれを拡張した。

「別のスポーツで指導者育成を行ってきた人物やメンタルトレーナーなどを招聘しています。これまでのIT戦略に加え、野球とは全く無縁の集団が入り、今季の横浜の短期決戦、土壇場での強さを支えた」(別の横浜担当記者)

 三浦監督もこの球団の強化策に賛同。南場智子オーナーは「ベイスターズの可能性の高さを示唆するもの」と三浦監督の続投を日本シリーズ前に決めた。日本プロ野球界では異例のタイミングの続投発表で、三浦監督も「身が引き締まる思い」とスイッチが入った。高校時代まで坊主頭だったが、崇拝する歌手・矢沢永吉に近づくためにリーゼントにするようになった。日本一へ「成りあがる」チャンスがやってきた。

小田義天(おだ・ぎてん) スポーツライター

デイリー新潮編集部

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