“鬼の形相”で外国人投手に「チェンジ!」 “優し過ぎる”DeNA三浦監督がブチ切れて、チームを変えた日

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 今日から始まるプロ野球日本シリーズで、注目を集めているのが横浜DeNAベイスターズの三浦大輔監督だ。レギュラーシーズンは3位、貯金(71勝69敗)はわずか2つながら、クライマックスシリーズでは阪神、巨人を撃破してチームを7年ぶりに日本シリーズに導いた。就任4年目、生え抜き監督として3年連続3位以上という成績はベイスターズ史上初。球団は日本シリーズ前に来季続投を決めた。2021年シーズンに監督に就任してからもお馴染みのリーゼントヘアを続ける「ハマの番長」にはその強面とは裏腹の“いい人伝説”が数限りなくある。それでも今シーズンは、“鬼の番長”に変貌した瞬間もあった。

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「怒らない、威張らない、腐らない」―。就任4年目で初めて日本シリーズに進出した三浦監督のチーム作りはこの言葉に集約される。就任初年度は最下位だった。それでも「ベイスターズには伸びしろがある」との信念のもと、翌年からは3年連続クライマックスシリーズに進出。監督にとって初出場となったファイナルステージでは、レギュラーシーズンでは8勝16敗と歯が立たなかった巨人に「個ではなく束になってぶつかっていけ!」と送り出した。敵地である東京ドームで見事な試合で日本シリーズに進出を決めた際には、巨人ファンからも大きな拍手を送られていた。

病院を抜け出して……

 プロ野球界では珍しくなった高卒叩き上げだ。FA移籍もせず、横浜一筋で25年間の現役生活を送った。本人は1998年の優勝を「一生忘れない」と話す。この年、「入団してからずっとつけたかった18番をつけられた」ことも大きかった。シーズンの分岐点になる8月に肝機能障害で1か月の戦線離脱をした。

「病院のベッドを抜け出してトレーニングを続けていたのは有名な話です。この時、指揮していた権藤博監督は“これこそ18番をつけるエースの姿だ”と大感激していました。担当の医師には相当怒鳴りつけられたらしいですけど」(古参の横浜担当記者)

 番長だからこそ筋も通す。この後、チームは長期低迷に陥り、08年には子供の頃から大ファンだった阪神からFA移籍の話がきた。父・克之さんは岡田彰布前監督の実家がある大阪市中央区玉造で「三勝生花店」を営んでいる。父親が岡田前監督の後援会に入会。三浦家全員がトラ党だった。

「横浜ファンから“行かないで!”という声が大きかった。それがきっかけで阪神よりも横浜で優勝したいと残留した。担当記者の誰もが驚きました。その後、チームに対して、なぜ、補強しないのか、どうして退団しようとする選手を引き止めないのか。若い選手の育成をどう考えているのか、ありとあらゆる主張を続けていました。それが選手はもちろん裏方さんたちの耳にも入った。いずれは監督になる人だと思っていましたね」(夕刊紙記者)

 トラ党の中にも三浦監督ファンは少なからずいて、岡田前監督に“引導”を渡すことになった今年のクライマックスシリーズでも、甲子園球場伝統の熱すぎるヤジは三浦監督に対しては皆無だった。それどころか「横浜に対して、読売を倒して日本シリーズに行ってくれ! と球場全体で送り出すような雰囲気だった」(阪神担当記者)

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