米海軍ミサイル駆逐艦がブルーシートで覆われて…実は「最新兵器」が隠されていた!

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 10月12日、アメリカ海軍横須賀基地に一隻のミサイル駆逐艦が入港した。名前は「プレブル」。横須賀基地に停泊中のこの軍艦の前部隔壁の一部が、なぜかブルーシートで覆われていた。実はここに隠されているのは高出力のレーザー砲「ヘリオス」だ。

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「何発でも撃てる」

 開発したロッキード・マーチン社のウェブサイトによると、「ヘリオス」は60キロワット超級の高出力レーザーで、交戦コストの低さ、スピード、正確さにおいて大きな利点があるという。同サイトでは、プレブルからレーザー光線が発射されている様がCGで再現されている。

 軍事評論家の岡部いさく氏によれば、実際のレーザー光線はこのCGのように可視光ではない可能性があるそうだが、その様子はまるで「スター・ウォーズ」のワンシーンのようだ。もっとも、見栄えうんぬんは兵器にとって本質的な問題ではない。その実用性に期待が高まっているのだ。

「レーザー兵器は今後、重要になっていくと思われます。昨年、中東・紅海で船舶へのドローン攻撃を繰り返していたイエメンのフーシ派に米軍はミサイルで応戦しましたが、ミサイルは1発数億円。安価なドローンを撃ち落とすのには経済的ではありません。しかし、このレーザーシステムなら電力が供給できる限り、何発でも撃てるのです」(岡部氏)

 石破総理は、防衛費の増額に伴う増税を年内に決着させる意欲を見せたが、これについては自民党内でも意見が割れるところ。党内での調整はもちろんのこと、力を増す野党からの攻勢が強まるのも必至だ。そんな防衛財源の確保に苦しむ日本政府にとって、電力さえあれば何発でも撃てるとは願ってもない最新兵器に思えるが、現状、さすがにそこまでうまい話ではないようだ。

「イージス艦はレーダーやコンピューターシステムに膨大な電力を使います。そのなかでレーザーを連射するのに必要な電力を現状の装備で確保できるのか、水蒸気が多い海上で拡散・屈折しないのか、さらにドローンは撃ち落とせても高速ミサイルにどこまで通用するのか、多くの課題があります」(同)

 未知数の最新兵器の登場は、日本の安全保障のあり方にも影響を与えるのだろうか。

撮影・福田正紀

週刊新潮 2024年10月31日号掲載

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