蓮舫氏に「さすが日本人じゃないですね」 ひどすぎる“政治家に難癖”コレクション(中川淳一郎)

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 政治家に対するメディアとSNS上のツッコミというか難癖、みんな大好きですね~。石破茂首相が能登の被災地を訪れた時、首相官邸のXが「石破総理は能登の被災地を訪問し、お一人お一人と話され、困難な環境下にある人々のために力を尽くす決意を新たにされました」と投稿。

 まぁ、ヘンな日本語ですよ。「お一人お一人の話を伺い、(中略)決意を新たにした」でいいのに、身内に尊敬語を使っている。これは批判されても仕方ないですが、過去にはどうしようもない難癖が多かった。

 2012年の自民党総裁選では、安倍晋三氏の陣営がホテルニューオータニでカツカレーを食べました。「ちちんぷいぷい」という関西の情報番組が3500円のカレーだと報じたところ、「庶民感覚からかけ離れている!」「カツカレーなんて800~1200円でしょ!」みたいな怨嗟の声が沸き上がったのです。「自分が食うものだからいいじゃん、すしだったら3500円は安いですよ」なんて言おうものなら「原資はわれわれの税金です!」と袋だたきにされてしまう。

 でも、ここまでくると今度は安倍氏の支持者が反撃に出てきます。このカツカレー騒動を報じた朝日新聞に対してデモをしかけました! 「朝日新聞社員食堂の極上黒毛和牛のカレーは安倍さんが食べたカツカレーよりも高いぞ! 反日朝日新聞社員は国会議員よりもぜいたくしているぞ!」と。

 ただ、ここには重大な間違いが。朝日新聞東京本社には「アラスカ」というレストランがありますが、これはあくまでもテナント。社員食堂ではありません。これにはビルの上層階からデモ隊を見下ろす従業員も苦笑い。

 この件はオチが付き、2015年に民主党代表選に出馬した長妻昭氏の陣営がニューオータニでカツカレーを食べた時、リベラル派はだんまりだったのです。敵が食べるのは問題だが、味方は構わない、ということでしょう。

 他にも印象深い言いがかりはあって、蓮舫氏がサンマの塩焼きをXに投稿したところ、頭が右側にあったため、マナーが悪いと怒る人が続出したほか、「さすが日本人じゃないですね」と差別的なことを言う人も。いや、どちらだっていいでしょうよ。客に出すわけじゃないんだから。

 あと、蓮舫氏は雑誌VOGUE NIPPONの取材で国会にてグラビア撮影をしましたが、これも猛烈な批判を浴びた。出版社が事前に許可を取っているし、国会は休会中で、さらに衛視も立ち会いのもと撮影されていた。岸田文雄氏の息子・翔太郎氏と親戚による無許可の「新内閣発足レッドカーペットごっこ」よりキチンとしているではありませんか。

 蓮舫氏といえばもう一つあった。東日本大震災の頃、防災服の襟を立てていたのですが、これがアンチの心を逆なでしたのです。決してファッショナブルとはいえない防災服を少しでもカッコ良く着こなそうとしたのですが、場違いが過ぎたということでしょう。

 石破氏も新内閣発足時のモーニング姿がだらしない、と散々な言われようでしたが、これからどんな批判が寄せられるのか、理不尽なものも含めコレクションしようと思います。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2024年10月24日号掲載

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