「86歳の老人に治療してもムダじゃないかと思うことも…」 養老孟司さんがガン告白 

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「治療してもムダじゃないかと」

「7、8月に入院して抗がん剤治療を受けていました。結構きつかったけれども、かなり効いたようで調子は良くなった。それでもこの時期、いくつか仕事をキャンセルしなければならなくなって、各方面にはご迷惑をおかけしました」

 9月にも抗がん剤と放射線治療を受け、とりあえず一連の治療は終了した。

「正直言って、86歳の老人に治療なんかしてもムダじゃないかと思うこともありましたが、家族や親しい人、お医者さんたちが親身になってくれるのを見て、そういう考えもあまり良くないなと思うようになりましたね……。何が何でも生きたいと思ってきたタイプではないけれど、むしろ何が何でもと思うほうが素直なのかも、とも」

 なぜ新刊で公表を?

「タイトルが『人生の壁』なんだから、人生の一大事についてはちゃんと書いてくれと担当編集者に要望されたから触れただけ。この件での取材その他はこれでおしまいとしますので、あとは放っておいていただければありがたい」

 入院中に思い付いた新しいアイデアもあり、いずれ執筆するつもりだという。

週刊新潮 2024年10月31日号掲載

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