メジャー挑戦「村上宗隆」に“最強の助っ人” 「交渉で負けたことがない」スゴ腕代理人の素顔に迫る

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選手の練習にも付き合う

「クロース氏は、全米大学野球選手権で優勝を経験し、元ヤンキースのマイナー選手でもあります。『交渉で負けたことがない』とも言われており、IMG、クリエイティヴ・アーティスツ・エージェンシー などの大手エージェント会社を渡りあるき、11年から現在のエクセル社で活躍しています。大手エージェント会社に在籍していても、代理人の年収は完全な出来高払いで、クロース氏はすでに6500万ドル(約96億円)以上を稼いでいる敏腕です」(米国人ライター)

 そのクロース氏を代理人として有名にしたのは、IMG社時代の93年にヤンキースのデレク・ジーター(50)の代理人グループのリーダーを務めたのがきっかけだった。

 まさにスゴ腕代理人がつくことになったわけだが、今季の村上は本塁打と打点の二冠を獲得したものの、シーズン180個で「三振王」にもなっている。リーグ2位が細川成也の159個で、パ・リーグ1位が山川穂高の158個であることを考えると、ダントツに多いことが分かる。三冠王に輝いた22年の三振数は「128」、昨季は168個だったから、「年々酷くなってきた」とも解釈できる。

「配球のヤマが外れたからか、外角球に振り遅れて空振り三振となるシーンも目立ちます。三冠王となった22年当時は、メジャースカウトも注目していましたが、23年のWBCでの成績は今一つでした。ここ2年間は、村上の名前を聞くことも少なくなりました」(NPB関係者)

 このままメジャーリーグに挑戦しても“厳しい局面”が続きそうだ。クロース氏は野球、ゴルフ、バスケットボール、アイスホッケーのスター選手をマネジメントしてきた一流の交渉人。日本の「元三冠王」とはいえ、今の成績では不釣合いな感がしないでもない――しかし、取材を進めてみると、クロース氏がサポートしてきたのは最初からスターであった選手ばかりではなかったことがわかった。

「ジーターがヤンキースでレギュラーを掴んだのは96年です。92年のMLBドラフトで指名されてから2年くらいは、マイナーリーグでもバッティングや守備に苦しんでいました。その苦しい時代からジーターを支えていたのが、クロース氏です。クロース氏はジーターの守備練習にも協力してきました」(現地記者)

 村上がメジャーリーグで三振を量産したとしても、それを克服するための的確な助言だけではなく、練習パートナーも買って出てくれそうだという。前出の米国人ライターによれば、クロース氏に代理人を依頼するプロスポーツ選手は後を絶たないそうだが、全てを引き受けるわけではない。その選手の考え方、競技や練習に取り組む姿勢などを調べ、人柄も理解したうえで引き受けるかどうかを判断しているそうだ。

 その意味では、村上は一流代理人のお眼鏡に適った数少ない選手とも言える。村上は練習態度もマジメで、バットを振る回数もチームで1、2を争う努力家だ。ビハインドの試合中もベンチから身を乗り出して仲間を鼓舞するなど、そのキャプテンシーは多くの関係者が認めていた。

「村上が親身になってくれる代理人を見つけたのは大きい。日本人の場合、専属通訳やトレーナーもつける必要があるし、州ごとに納める税金もあるのでグラウンド外のこともお願いしなければなりません」(前出・米国人ライター)

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