腕時計だけで人の年収は分からない…ただし、腕時計だけが「ニセモノ」の“経営者”には注意が必要

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腕時計は会話の糸口として最適なツール

 筆者はかつて腕時計に多少興味があり、雑誌などで腕時計の記事を書いたこともあった。現在はすっかり興味がなくなり、購入することもなくなってしまったのだが、腕時計の知識を身につけていたおかげで役に立ったことはかなり多い。そのうちの一つが、“偽物の腕時計を身につけている人は高確率で詐欺師である”という事実に気付けたこと。

 私はこれまで職業柄、様々な職業の人と会ってきたし、取材してきた。その際、相手が腕時計をつけていると必ずチラ見し、銘柄を確認する。そして、珍しい腕時計や高価な腕時計を身につけている場合だと、つい「いい腕時計を使っていますね!」と口に出てしまう。相手も腕時計を褒められて嫌な気持ちになることはないので、会話は自然に弾んでいく。

 腕時計は初対面の人と会話の糸口をつくるには最適なツールであり、相手がコレクターだったりすると、「今度うちにコレクションを見に来てよ!」と誘われることもある。どんな著名人や富裕層であっても、腕時計について語るときは子どものように目を輝かせることが多く、そういう姿を見ると筆者も笑顔になってしまうものだ。

偽物の腕時計を使っていた人はどうなったか

 その一方で、時計談義に花がさき、話が膨らむにつれ、気まずそうなオーラを出し始める人がいる。ある企業の経営者はまさにそれであった。そこで、彼が身につけていた腕時計をよく見せてもらったところ、明らかに感触が変なのである。アッ、これは偽物だ、とわかった。プロの鑑定士ではない筆者でも判別できるほど、わかりやすい偽物だったのである。

 また別の経営者は、腕時計の話になったら「この腕時計は偽物なんだよね~!」「見栄えがすればいいんだよ!」と堂々と告白してきた人もいた。その経営者が身につけていた腕時計は、本物なら200万円くらいする高級品である。ちなみに、履いている靴も海外の高級ブランド製だったが、それは本物なのだという。

 さて、偽物の腕時計を使っていたこの2人には共通点がある。なんとその後、どちらも不祥事で逮捕されてしまったのだ。最初の経営者に会ったのはある雑誌の取材だったのだが、校了の直前で詐欺が発覚し、記事は急きょ差し替えになってしまった。筆者は編集者から「取材してほしい」と言われて行ったのだが、偽物の腕時計を使っていたことから怪しいと確信、取材後、「行ってきたけれど、ヤバそうなオヤジだった」と編集者には報告しておいた。

 しかし、その編集者は「大丈夫ですよ! 代理店の方の推薦ですし!」「そんなヤバい人なわけがないです!」と言ってきた。その結果がこれである。筆者の不安が見事に的中してしまった。ちなみにこの編集者は、入社ホヤホヤの新人だったのだが、彼は入社直後にいきなり仕事の洗礼を受けることになったというわけである。

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