注目の「清原正吾」にドラフト指名はあるか? 大学野球関係者のリアルな評価「サラブレッドとしての素質をどう捉えるか」

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ベストナインを獲得

 プロ野球ドラフト会議がついに10月24日に開催される。

 それに先立つ21日の試合で、鳥谷敬氏(当時、早稲田大)の記録を抜き、リーグ歴代8位の通算116安打を記録したのがアマチュア球界屈指の内野手、宗山塁(明治大)。ドラフト会議では、彼ら有力選手をめぐる熾烈な争奪戦が繰り広げられることが予想される。そうしたなか、注目を集めているのが、同じ東京六大学の慶應大の4番打者で、NPB通算525本塁打を放った清原和博氏の長男、清原正吾の動向だ。

 小学校では軟式野球に取り組んでいたものの、慶應中学ではバレーボール部、高校はアメリカンフットボール部に所属していた清原は、6年間のブランクを経て野球を再開。大学で初めて硬式のボールに触れたという異色の経歴でありながらも、2年秋のリーグ戦に初出場を果たすと、先発出場した3年春の開幕戦では初安打も記録するなど、高い潜在能力を示した。だが、その後は徐々に出番を減らし、3年秋のリーグ戦ではベンチメンバーから外れ、チームのリーグ優勝に貢献することはできなかった。

 一時は、慶應大の堀井哲也監督が「もしかしたらこのまま上がってこられないのでは……?」と心配するほどの状況だったというが、試合に出られない中でも腐らずに黙々とバットを振り抜いた清原。4年春のリーグ戦でレギュラーポジションを手にすると、「僕にとって特別な打順」だという4番に座り、チームの全日程にあたる13試合に先発出場を果たした。

「本塁打打者だった父・和博氏の打撃を参考にした」というバットを短く持つコンパクトなスイングを取り入れて「打席で気持ちに余裕が生まれた」という清原は、本塁打こそなかったものの、打率.269、7打点。ツボにハマった時に見せる長打力でも存在感を示すと、一塁手のベストナインを獲得した。

本塁打ボールを両親に

「清原ジュニアではなく、清原正吾の名をみんなに響かせたい」(5月4日・対立教戦)という思いを胸に、秋のリーグ戦でも4番として出場を続け、9月28日に行われた対明治大戦では、1点リードを許した9回2死の場面で登場し、公式戦では自身初となる本塁打をバックスクリーンに叩き込んだ。

「前の打席では凡退していたので、4番の仕事をしないといけないと思った」という最終打席で、父親を彷彿とさせる勝負強さを見せつけて崖っぷちのチームを救った清原は、グラウンドを一周した後にスタンドで見守る父の和博氏を指刺し、喜びを表す場面も。

「僕が野球を始めた時、両親に本塁打ボールをプレゼントすることを目標の一つに掲げていたので、ようやく本塁打ボールを両親にプレゼントすることが出来て嬉しい」と試合後に安堵の表情を浮かべた一打に、堀井監督も「本塁打は打者の自信に繋がりますし、勝敗に大きく関わる打席で結果を出せたことは本当に素晴らしい」と目を見張った。

 そして8日の東大戦でも、渡辺俊介氏(元ロッテ)の長男で、父と同じサブマリンとしてチームを支える渡辺向輝(3年)と顔を合わせた。

 春のリーグ戦では対戦がなかったものの、「もし打たれてしまったら、確実にネットでバズり、話題になってしまうと思う。対戦したら絶対に抑えたい」と話していた渡辺が投じた変化球を、清原は見事に左翼スタンドに運んだ。

 試合後に「父についての意識はなかったですが、対戦を楽しみにしていた」と対決を振り返った渡辺は、8月に行われた東京六大学オールスター戦(エスコンフィールド)で清原と親交を深めたことに言及。「互いに『ナベ』、『キヨさん』と呼び合うようになり、“陽キャ”な方で盛り上げてくれました」と思い出を語った。

 続けて、清原との初対戦について問われると「自分の間を作りたいのにキヨさんの主導になってしまう。これがプロを目指す選手なのかなと思いました」と“ジュニア対決”を制した1学年上の4番打者を讃えた。

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