CS第6戦で「巨人が負けた」と思った瞬間…最後の最後に出た阿部監督の「解せない強攻策」【柴田勲のコラム】

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来年の巨人は厳しい

 巨人打線は打てなかった。6試合を通して0、1、1、4、1、2で9得点、適時打がなかなか出ず、5番も機能しなかった。

 三浦大輔監督は岡本和真への申告敬遠を徹底し、ぶれなかった。これは大きかった。DeNAにしても2、2、2、1、0、3で10得点だ。打線は巨人に比べて強力だ。いかに巨人投手陣が頑張ったかである。

 それにしても吉川尚輝一人が抜けただけでこうなるとは。来年の巨人はこの状況を見るにつけ、厳しいなと言わざるをえない。

 菅野がメジャーに挑戦するという。今季、15勝(3敗)を挙げており、抜けるとなると確かに穴は大きい。でも投手は結構出てくるものだ。だが、打者は難しい。岡本和の近い将来のメジャー挑戦がささやかれている。

 坂本、丸佳浩も全盛期を過ぎている。人材の育成が急務だが、目を向けると中山、浅野翔吾、萩尾匡也、佐々木俊輔、秋広優人らが今後の巨人を担うことになる。

お金ではなく夢を求めた菅野

 一番期待できるのは浅野か。バットが下から出るタイプで力感がある。坂本タイプでもある。でも、もっと力を抜いて上からポーンとたたく。改良の余地があると思う。

 オコエ瑠偉ももっと工夫する必要がある。上体の力が強すぎる。秋広は阿部監督に評価されていないようだ。ファームでしっかり実績を積んでアピールすることだ。

 巨人の打者、どれだけの選手が出てきてくれるのか。未知数だ。

 DeNAで目に付いたのは梶原昂希、森敬斗だ。二人ともにスケールが違う。プレーがハツラツとしており、バットコントロールがいい。長打力もある。他球団ながら楽しみな存在だ。

 菅野だが、メジャー移籍は制度上、認められている選手の権利だ。ダルビッシュ有が38歳、前田健太は36歳で菅野と近い年齢だ。2020年にメジャー挑戦を一度諦めている。

 ラストチャンスと思ったのだろう。巨人で現役を貫き通してほしかったが、お金ではなく夢を求めた。頑張ってほしい。

 最後にDeNAはセ・リーグの代表としてソフトバンクに一泡も二泡も吹かせて、2010年のロッテ以来となる下克上を目指してもらいたい。楽しみだ。

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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