「もう死にたい」と口にする不登校の少女が母親に心を開いたきっかけはYouTubeだった…小学1年生からタブレット学習が始まる時代の「親の役割」

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敵視ではなく一緒に楽しむ

 親が仕事をしたり、家事をしたいがために、ゲームやスマホのYouTubeに子守りをさせている親も見受けられる。他方、「これらを絶対にやらせない」とICT機器を持たせない親もいる。

「確かにこれらのツールを手にすると、子どもがゲームやYouTubeの沼にハマってしまうリスクがないとは言い切れません。でも、うまく使えば、親子のコミュニケーションにも有効です」

 成田氏によると、過去にこんなケースがあった。

 かつて、友人関係が上手くいかず、不登校になってしまった中学生の女の子がいた。両親から相談を受けたときは「もう死にたい」そんな言葉を発していたという。ところが、しばらくして、その女の子はYouTubeで自身の“推し”を見つけたらしい。そこでお母さんは、YouTubeを観ることを否定せず、「何なに? この人のどういうところが面白いの? お母さんに教えて!」と興味を示し、一緒に観てみることにした。すると、お母さんもどっぷりハマり、親子で楽しんで観るように。そして、自然と親子の会話が増え、話題も広がった。今では、推しのイベントに意気揚々と出かけられるまで元気を取り戻した――。

「このように、親子のコミュニケーションツールとして活用するのは、とてもいいことだと思います。子育てで最も大切なことは、早寝早起きと十分な睡眠、すなわち『生活の軸』。そして、親子のコミュニケーションです。そこが分かっていれば、外で習わせるようなものは、ごく一部に限られ、塾や習い事で忙しい毎日にはならないはずです。『わが子のために良かれ』と目先の良さそうなものに飛びつく前に、日々の生活を整え、子どもにたくさんの言葉を渡し、安心させる。それが親の大事な役割なのではないでしょうか。そこが理解できていないと、コミュニケーション能力の問題から子どもの不登校を招くなどの事態が起きてしまうのです」

 前編「子どもの英語習得のために『早期のバイリンガル教育』より大事な“感情”とは 専門家が指摘する『子どもの将来のため』に潜むリスク」では親がハマりがちな早期英語教育の落とし穴について、成田氏が語る。

取材・文 石渡真由美(ライター)

デイリー新潮編集部

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