「NHKの受信料は800円以下にできる」 専門家が痛烈批判する理由とは 会長は「とにかく1割下げたので」

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「受信料は800円より低く下げられる」

 そんな体たらくでは、視聴者から“受信料を返せ”との声が上がるのも無理からぬ話である。放送ジャーナリストの小田桐誠氏によれば、

「NHKの受信料は、ガスや水道と同じく『総括原価方式』で決まります。つまり総合・Eテレ・BS・BSプレミアム4K・BS8Kとラジオの第1・第2・FMにかかる制作費や人件費など年間の支出総額を計算し、それに見合った料金設定をするのです。ただし、これはあくまで表向きの話で、内部留保の額を考えれば、相当に強気の料金設定をしていると思われます」

 受信料収入の減少もあり、NHKは27年度の支出を23年度と比べて1000億円削減する計画を示しているのだが、

「24年3月期の決算では、日本テレビの年間番組制作費は893億円、フジテレビは682億円でした。これらを上回る額を削減してもなお経営が回っていくのだから、NHKには圧倒的な資金力があるわけです」

 とは、前出の砂川教授である。

 昨年度末の時点で、受信料支払い率の全国値は78.6%。先の小田桐氏は、

「現場でも外部スタッフの訪問営業が廃止され、人件費が大幅に削減できています。支払い率がよほどダウンしない限り、受信料は800円より低く下げられると思います」

「とにかく1割下げたので……」

 トップの稲葉延雄会長に、視聴者の負担を減らす意思があるかと尋ねたところ、

「いま還元していますよ」

 と、昨年の値下げを挙げつつ、さらに下げる可能性については、

「そういうことは、いま考えていません。とにかく1割下げたので、それを持続させることが大事だと思います」

 あらためて局に問うと、

「1000億円規模の事業支出の削減を構造改革を進めることで実現し、1割値下げした受信料額を堅持していくことで、視聴者のみなさまの還元に努めてまいります」(広報局)

 前編【「まるで資産運用ファンド」 NHKの金融資産は約9000億円…「収入と必要経費がトントンくらいが理想」】では、専門家が「上場企業でも、これだけ金融資産をため込んでいるところは滅多にない」とあきれるNHKの資産の内訳、NHK職員の平均給与などについて報じている。

週刊新潮 2024年10月17日号掲載

特集「ネット受信料『月1100円』 金満『NHK』のこれだけの疑問」より

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