「まるで資産運用ファンド」 NHKの金融資産は約9000億円…「収入と必要経費がトントンくらいが理想」

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「国民に還元すべき」

 民間企業であればアクティビストが騒いでもおかしくない数字だといい、

「有価証券も国債や地方債など、すぐに現金化できるものが多く、それだけ現金ベースの利益を生んでいるといえます。24年3月期単体決算では34年ぶりに赤字(136億円)に転じましたが、これは出金を伴わない減価償却費が多く、会計上では赤字となったためです。現に、事業キャッシュフローでは連結で696億円のプラスとなっている。また直近の内部留保も、連結では子会社を含めて5113億円と、6年前の1.4倍になっています」(伊藤氏)

 さらに続けて、

「NHKの役割は利益をため込むことではありません。公共放送としては、収入と必要経費がトントンくらいの形が理想。これだけ金融資産を持て余しているのなら、受信料を値下げするなりして国民に還元すべきではないでしょうか」(同)

 その必要経費のうち、番組制作費は24年3月期単体決算で3133億円となっており、

「前期が3168億円なので35億円ほど減少しています。内訳を見るとニュース番組の制作費が946億円から913億円に減っており、“公共放送としていかがなものか”と言いたくなります。一方で、大きな世界大会があると放映権料が生じるスポーツ番組は年ごとに上下しますから、465億円から503億円に増えている。またエンタメ・音楽は226億円とほぼ横ばいで、『日曜美術館』『きょうの健康』などのライフ・教養は30億円ほど減って836億円となっています」(同)

平均給与は約1100万円

 財務諸表などによれば、職員の平均給与は年約1094万円と算出され、

「この額が、公共放送の職員の給与として適正かどうかという点はさておき、そもそもNHKがこれだけ多くの番組を制作する必要はないと思います。民放のようにバラエティーやドラマを量産するから、職員の人件費が増えるのです。民放の番組は収益事業として課税対象となりますが、NHKはすべての番組が公益事業とみなされて非課税。そうした点から考えても、公共放送が広い領域で番組を作る必要性は見当たりません。制作を縮小すれば職員も経費も大幅に削減でき、金融資産を吐き出して受信料を下げる余地が出てくるのです」(伊藤氏)

 後編【「NHKの受信料は800円以下にできる」 専門家が痛烈批判する理由とは 会長は「とにかく1割下げたので」】では、NHKが受信料を下げられる理由について、専門家の見解を紹介している。

週刊新潮 2024年10月17日号掲載

特集「ネット受信料『月1100円』 金満『NHK』のこれだけの疑問」より

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