「まるで資産運用ファンド」 NHKの金融資産は約9000億円…「収入と必要経費がトントンくらいが理想」
「視聴者の利益にはならない」
BS番組については権利関係から配信できないものなどがあるため、ひとまずは地上契約と同額に設定したとみられるのだが、
「今後、衛星放送が配信できる環境になれば、それに伴って受信料の値上げも考えられます。ただし、このネット配信を契約する人はほとんどいないのではないでしょうか。テレビの視聴者はすでに受信料を払っており、現在NHKを観ていない若者がわざわざスマホで観るとは思えない。1100円という金額設定は、これから本格的にネット事業を始めるためのつじつま合わせに過ぎません。『ネットで観る人はフリーライドだ』といった批判をかわすための方策でしょう」(前出のデスク)
とのことで、
「NHKがネット参入する意義を、あらためて疑わざるを得ません。“民業が圧迫される”と異を唱えた新聞協会に配慮する形でネット独自のコンテンツを取りやめ、その上、放送よりも番組を制限しているのだから視聴者の利益にはならない。第一、NHKの増収にもつながらないと思います」(同)
それゆえ“公共インフラ”を自任するNHKが、遠からずスマホやパソコンのユーザーから受信料を一律徴収するだろうとの見方が濃厚になっているのだ。
「まるで資産運用を生業にしているファンド」
もっとも、受信料収入の減少が続いたところで、約1万人の職員を擁する公共放送の経営は盤石である。
「NHKのバランスシートを見ると、まるで資産運用を生業にしているファンドではないかと見紛いそうになります」
とは、NHKの財務を分析している金融ジャーナリストの伊藤歩氏である。
「24年3月期の連結総資産は1兆4495億円。NHKが協会全体の財務諸表を公開し始めた09年3月期は9313億円だったので、15年で約5000億円も増えた計算になります。特筆すべきは現預金と有価証券をあわせた金融資産の多さ。15年前は4061億円でしたが、これが今回、8940億円と倍以上に膨らんでいます。総資産に占める割合は61%。上場企業でも、これだけ金融資産をため込んでいるところは滅多にありません」(同)
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