スーパーでは1.4倍に高騰…「新米」が入荷しても「コメが高すぎる」のはナゼか このままでは「コメ離れ」が加速する懸念も

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 コメ価格の高止まりが続いており、消費者はもちろん、関係業界からも悲鳴が上がっている。東京などの大都市圏だけでなく、地方でも価格は高騰。XなどSNSでも「なぜ、こんなに高いのか?」、「コメが高くて買えない」といった投稿が殺到している。にもかかわらず、農林水産省は何も対策を講じないという。

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 東洋経済ONLINEは10月14日、「『消えたコメ』が戻ってきたら『コメが高い!』になっていた 9月の消費者物価指数で東京23区内では前年比4割高」との記事を配信した。担当記者が言う。

「東京都区部における消費者物価指数を見ると、コメ類は9月、前年同月に比べて何と41・4%も上昇しました。東洋経済は記事で4割アップを伝え、《5キロ2000円だった価格が2800円に上がった計算となる》と記述したのです。計算自体は全く正しいのですが、Xでは『この記事を書いた記者は、スーパーに足を運んだのか』といった批判が目立ちました。なぜなら都内のスーパーでは、コメは5キロ3500円ぐらいで売られているからです」

 エンゲル係数という専門用語を思い出してほしい。「家計の消費支出に占める食費の割合」を指し、19世紀にドイツの統計学者、エルンスト・エンゲルが論文で発表した。彼の研究で、当時は低収入の世帯では食費の割合が高いことが判明。そのため国民の“貧困率”が把握できると、世界各国の政府がエンゲル係数を活用してきた。

 ちなみに近年では当てはまらない世帯も多いと指摘されている。グルメな人も増えており、むしろ世帯収入が高いからこそ高級な食材を購入、結果として食費の割合が高い家庭も珍しくないからだ。

神奈川も秋田も高騰

「とは言え、日本ではエンゲル係数の上昇が続いており、その上がり幅は異常と言わざるを得ません。2023年度のエンゲル係数は27・8%。第一生命経済研究所が調査結果を公式サイトに発表していますが、23年から今年3月までのエンゲル係数は、1978年以来の高い数字になるそうです。ウクライナ戦争や円安の影響で食料品の価格が上がり、エンゲル係数も上昇しています。ただし、23年度の値ですから、コメの高騰は含まれていません。昨年度から物価上昇に悩まされていた消費者が、コメの値段を見て『生活が苦しい』と悲鳴を上げるのは当然のことなのです」(同・記者)

 コメ高騰は東京だけの話ではない。地方紙の報道を、いくつか見てみよう(註:見出しや掲載日は記事末尾)。最初は神奈川新聞だ。記事によると、横浜市内のスーパーでは昨年、コメ5キロは2000円台半ばだった。ところが現在は1000円上がって3000円台半ば。市内の精米店では少しでも安いコメを求めて消費者が訪れ、例年なら業務用に使われる銘柄が人気を集めているという。

 神奈川県は首都圏に位置する大都市だが、米どころとして有名な秋田県でもコメの高騰に苦しんでいるという。秋田魁新報の記事によると、秋田市内のスーパーでは、県産のあきたこまちが5キロで3400円台。高齢女性は値札を見ると「高い、高い」と呟いて立ち去ったという。

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