「リベンジで中学受験に狂う親も…」 11月の“新年度”を前に知りたい「小学校受験」に“向いている家庭”と“向いていない家庭”

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偏差値を求めるなら……

 私立小学校の本質的な魅力とは何か。それは人格形成の土台を作る初等教育の時期に、家庭の求める教育を体現している教育環境を選べることに尽きます。ご存知の通り、私学の教育方針は様々です。家庭、子どもに合う環境で初等教育を学ぶ。見据えるのは学校の知名度や受験偏差値などの入り口や通過点でなく、その学校でどう育つか。「我が子の心身学力が最も成長できる環境」を選べることが、私立小学校の本質的な魅力でしょう。

 このように紐解くと、話題の小学校受験とはいえ、向いていそうなご家庭と向いてなさそうなご家庭も見えてきます。どうしても偏差値が頭から離れないご家庭は、素直に中学受験に挑むことをお勧めします。もしくは、私立小学校にも中学受験を経てハイレベルな中学校を目指すことを前提とする学校がありますから、そちらのチョイスがよろしいでしょう。中学受験も、長期目線で取り組めば、適切な学習負荷で十分乗り越えられます。

 一方で、小学校から高校の12年間や、さらに大学まで含めた16年間の長期的な視野で、家庭や子どもに合う一貫した教育をと考えるご家庭は、初等教育からの一貫校をよく調べていただければと思います。知名度や人気度に囚われず、ご家庭の教育方針に合った学校を探してみてください。

まず取り組むべきこと

 最後に、以上をご理解いただき小学校受験に興味を持たれた場合は、いきなり教室を探すのでなく、我が家はどんな学校に魅かれるのかをご夫婦で考えてみてください。大学附属なのか、女子校なのか、大学受験はさせたいのか。また、通学時間の許容範囲、アフタースクールの有無など、家庭生活に直結する条件も重要です。

 中学受験以降は、まず塾に行き、そこでの実力を判断しながら受験校を絞り込むのが通常の流れでしょう。しかし、小学校受験では、先に「志望校を絞り込む」ことをお勧めします。その後に、その学校に合った教室探しとなります。学校によって考査内容や準備の強度が異なるため、志望校次第で教室選びが大きく変わるからです。

 冒頭の通り、ちょうど年度の切り替わりの時期ですので、教室のプロモーションが目につくと思いますが、焦らずに一旦我慢です。新年中以前なら一ヶ月、新年長なら一週間、志望校探しに費やしてください。そこが定まった後、教室探しを始めましょう。それで十分に間に合います。

 小学校受験の要諦は、「急がば回れ」なのです。

狼侍(おおかみざむらい)
私立一貫校に通う二児の父。自身の子どもが幼稚園・小学校受験をした経験や多数の取材から、Xやnoteで「お受験」の構造や対策などについて、3年以上にわたって情報発信を続けている。複数のメディアで小学校受験についての解説を行うほか、受験サポートに特化した無料アプリを運営するなど、お受験に悩める家庭を幅広く支援している。

デイリー新潮編集部

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