小4の時に「沖田総司」に恋をして、結婚したいのは「田沼意次」 江戸を伝え続ける41歳タレントの「幸せ」

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歴史タレント・堀口茉純

 江戸の楽しさを世に伝えているタレントの堀口茉純(41)。小学4年生の時に新選組の「沖田総司」に恋をして以来、江戸にどっぷりハマってきた。結婚したい人物は、江戸時代中期に権勢をふるった「田沼意次」。江戸のことを伝え続けた15年間を「ものすごく幸せだった」と振り返る。(全4回の第4回)

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――幼少期から歴史に興味を持っていたのでしょうか。

 はい、運命的な出会いだったのが、小学4年生の時に読んだ司馬遼太郎先生の『燃えよ剣』です。この本で新選組に出会い、沖田総司に恋をしたんです。それまで、江戸時代を特別意識したことはなかったのですが、沖田総司の生きた幕末という時代に興味を持ち始めました。

 好きな人のことって、もっと知りたいじゃないですか。どんな時代だったのかな、何を食べていたのかな、どんなものを着ていたのかなと。幕末が好きになって、幕末が江戸時代の中の一部だったので、江戸時代のことが好きになって、戦国時代も好きになり、明治時代も好きになって、歴史全体が好きになりましたね。

――周りの友達はどう反応していましたか。

 クラスメイトが「誰が好き?」という話をしている時に、私は堂々と「沖田総司が好き」と言っていました。すると、みんな「誰それ?」という反応になるんです。でも、そこがチャンスなんです。“布教”活動ですね(笑)。新選組のことや、沖田総司がどれだけ素晴らしい人物かを熱く語り始めるんです。

――友達はその話に興味を持ってくれましたか。

 持ってくれましたね。私は本当に友達に恵まれていたと思います(笑)。みんな興味を持って話を聞いてくれただけでなく、一緒に“新選組ごっこ”をして遊んでくれました。

――例えば、恋愛の話をしている時も、沖田総司の話をしていたんですか。

 そうですね。クラスの男子の誰がかっこいいとか、スポーツが得意だとか、そういう話には、あまり興味がありませんでしたね(笑)。沖田総司のほうがスポーツはできる。私の中ではもう見えているんです。

瞳を閉じれば「見えます」

――どう見えるのでしょうか。

 瞳を閉じれば、見えますね。司馬遼太郎先生がきちんと描写してくれているので。普段は子どもといっぱい遊んでくれるんですが、剣を持つと滅法強い。三段突きという得意技もあって……。そういう風に空想して、どんどん好きになりました。

 小学4年生で恋をして、そこから加速していった感じです。ずっと熱量は変わらないですね。友達が「この子かっこいいよね」とか言っている時に、私は「いやいや、沖田総司の方がかっこいいよ」と言っていました。

――江戸時代の中で、ほかに好きな人物やおすすめの人物はいますか?

 たくさんいますが、特に「結婚したい」と思っているのは田沼意次ですね。彼は江戸時代の経済改革を行った政治家ですが、歴史の中では「賄賂政治家」「お金に汚かった」という悪いイメージを持たれてしまっています。

――なぜ、そのような印象を持たれているのでしょうか。

 当時、田沼意次を追い出したい“アンチ”もいたんです。幕府の中で活躍した人なので、彼がいなければ、そのポストが空く。そこに入りたい人たちによって、強烈なネガキャンを貼られて、引きずり降ろされた人なんです。

 以前は学校の授業でも、「田沼意次=賄賂政治家」みたいな教えられ方をされていた。「いや、そうじゃないんだよ」ってことを、私はずっと訴えてきたんです。本当は先進的な考え方を持っていて、経済を改革したすごい政治家なんだよって。

 来年の大河ドラマ「べらぼう」で田沼意次役を渡辺謙さんがやるんですが、たぶん絶対にいい感じで描かれると思っているんです。だから、今までちょっと白い目で見てきた人たちには、「ほらほら」と言いたいと思っています。

――田沼意次と結婚したいとは、どういう意味ですか。

 彼はもともと、そんなに偉くなれるような家柄でもなかったんですね。ただ、真面目で能力があったので、将軍に気に入られて、「老中」というポジションまで引き上げられたんです。ただ、周りには彼に嫉妬する“アンチ”も多かった。

 だから、彼が疲れて帰ってきた時に「あなたの言っていること、ちゃんとわかるよ」と支えてあげたいんです。周りからは「能力ではなく、将軍の寵愛で出世した」とか、「お金に汚い」とかで誤解されてしまっている。そんな彼を家で労りたいなと思います(笑)。

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