「江戸の一日」が大バズリの女性歴史系YouTuber 「浮世絵」で当時の“不倫”や“夜”までも表現

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堀口茉純が新刊「大江戸24時」

「江戸に詳しすぎるタレント」として知られる堀口茉純(41)。歴史系YouTuberとして、江戸文化の発信を続けている。今月には『大江戸24時 浮世絵で庶民ライフを物見遊山』を出版。浮世絵を通して、江戸庶民の生活ぶりなどを紹介していて、ためになる豆知識も満載の1冊だ。堀口に改めて江戸の魅力を聞いた(全4回の第1回)

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――今回の出版の経緯を教えてください。

 YouTubeをやっているんですが、「江戸の一日」っていう動画がバズって、私の動画で初めて100万回再生以上行ったんです。おそらく、「江戸が好き」っていう方以外の方も見てくれたので、「みんな江戸の一日に興味あるんだな」って思っていました。そんな時、出版社の方から声をかけていただいたんです。

――浮世絵を使ったのはなぜですか。

 私のYouTubeは浮世絵を使って江戸時代の生活を覗いてみようというコンセプトでやっていたので、本にする時も自然な流れで作ることになりました。

――浮世絵は自由に使えるものなんですか。

 この10年で浮世絵を巡る環境は、劇的に変わりました。浮世絵はもともと、海外で評価されたこともあって、海外の美術館が多く所蔵していたんです。シカゴやメトロポリタンなどの美術館が多く持っていて、10年くらい前からパブリックドメインで公開されるようになって、書籍や映像での利用が可能になりました。

――なぜ、海外に多くの浮世絵があるのでしょうか。

 浮世絵は江戸時代に江戸で作られたもので、日本では当時あまり価値を認識されていませんでした。幕末に外国人が日本にやってくると、日本では素晴らしい絵が安く手に入るということで、大量に買われてしまったんです。その結果、多くが海外に流出してしまいました。

「1枚、そば1杯分」

――江戸時代、浮世絵はどのような存在だったのでしょうか。

「1枚、そば1杯分」と言われるくらいの値段で、日本人にとっては身近なものでした。ポスターのように、庶民が家に飾ったりして楽しんでいた。シリーズで発表されたものを集める人もいましたし、当時のポップカルチャーとして広く親しまれていたんです。

――なぜ海外で人気を得たのでしょうか。

 江戸時代の後半、万国博覧会などで日本が世界に紹介されるようになったことが大きいですね。それと前後して「ジャポニスム」という日本文化のブームが起こりました。鎖国していた日本が開国してみると、独自の文化が発展していた。それが海外にとって非常に魅力的に映ったんです。

――それで浮世絵が海外で受け入れられたわけですね。

 そうです。日本人にとっては当たり前のものでしたが、海外では独自の美術として高く評価されました。日本人が気づく前に、海外でめちゃくちゃ盛り上がったのが浮世絵だったんです。

――どのあたりが魅力に映ったのでしょうか。

 日本は、和紙が発達していたんです。当時、世界的に見て、紙自体が貴重なものでした。それが、日本では普通に使われていて、しかもカラフルな庶民向けで、数も豊富にあった。とても、珍しかったんです。

――浮世絵を描いたのはどんな人たちなんですか。

 浮世絵を描いていたのは「浮世絵師」と呼ばれる人たちです。葛飾北斎や歌川広重、東洲斎写楽などが有名ですね。ただ、私たちが「浮世絵」と呼んでいるものの多くは版画なので、絵師だけではなく、版元や彫り師、摺師といった人たちも関わっています。

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