「殺人犯にされてしまう」 藤田小女姫事件の「福迫雷太受刑者」がハワイで獄中死…仮拘束前日の「2時間の肉声」

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疑惑を次々と「完全否定」

 福迫の部屋に残っていた血痕と切り取られた絨毯の謎についてはどうか。

「血痕については、ダイビングでケガをした時にも血を流しましたし、彼女が帰国する日にも、スーツケースを選んであげたら、把手の部分が外れて踵に落ちて血が出たんです。そして、僕も吾郎くんも、血液型は同じAB型なんですよ。絨毯を切り取ったのは、内緒で飼っていた猫が部屋を汚したため、そのままにしておいたら内金が返ってこないので、クリーニングと張り替えをビルの中のメンテナンス業者に頼んだんです。その際に、サンプルとしてほんの少し切り取っただけです」

 帰国当日に質屋で宝石を換金したという情報は完全に否定。監視カメラに映っていたといわれる吾郎さんの車を運転していた人物や、地下駐車場でソファーを運んでいた人物についても「絶対に自分ではない」と主張した。(編集部註:後の裁判で質屋の件と、「遺体らしきものを運んでいる人物」をとらえた別の監視カメラ映像は自身であると認める)

「吾郎くんの新車(アキュラ・インテグラ)には、一度だけ運転席に座ったことがあります。しかし、あの車はシフト式で、僕はシフト運転はずっと前にしただけですから、運転はできないんです。またソファーといっても、わざわざそんなものを地下に選ぶワケがないし、大体、僕はそんな食庫が地下にあることさえ知りませんでした。もし、そんな人物が映っているとしたら別人としか考えられません」

「主張を聞いてもらうことも出来なくなる」

 事件発生当時のアリバイがない理由は「1人で借りてきた日本のビデオを見ていた」からだという。また、過去にカリフォルニアで飲酒運転をして逮捕歴があることは事実だ。

「飲酒運転で拘置所に入れられたことがあるのは本当です。しかもその時はオモチャのエアガンを持っていたため、無理やりに収容されました。ただ、これには、人種的な問題もあると思います。それまで持ち出されて、僕が殺人犯に仕立て上げられてしまうのではたまったものではありません」

 最後に福迫の憤りは、警察の対応に向けられた。

「とにかく、今の状態はフェアではありません。仮に僕に疑わしいところがあったとしても、僕としては包み隠さず話しているのだから、ぜひ再捜査をお願いしたいと思います。それなのに警察が言うことは『マスコミと接触すると吊し上げを食って家族も目茶苦茶になるぞ』とか『弁護士を雇うと、自分が犯人だと認めたことになる』など信じられないことばかりです。このままだと、本当に僕は殺人犯にされてしまいます。そしてハワイに連行されれば、もう自分の主張を聞いてもらうことも出来なくなりますよ」

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 事件との関係を完全否定した福迫受刑者だが、ハワイへの送還後、翌年2月から始まった裁判では主張を一転させる。「遺体らしきもの」を運んだのは事実だが、殺害はしていないというのだ。第2回【藤田小女姫事件の公判で「完全否定」を一転 獄中死した日本人受刑者は「真犯人」を知っていたのか】では、裁判の様子と判決について伝える。

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