「殺人犯にされてしまう」 藤田小女姫事件の「福迫雷太受刑者」がハワイで獄中死…仮拘束前日の「2時間の肉声」

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「最初から僕を犯人扱い」

「僕が最初に自分が疑われていると知ったのは、帰国後の3月3日のことでした。(中略)これは何とかしなくちゃいけないと、友人や親とも相談して、翌日さっそく、警視庁に出頭したんです」(注:最初に出頭した先は神奈川県警)

 4月3日、午後6時過ぎから都内・西新宿のホテルでインタビューに応じた福迫雷太は時折表情を強張らせながらも、淡々とした調子でこう語った。

「ところが、その時にはすでハワイの捜査当局から連絡があったのでしょう。その日のうちに車に乗せられ、宿泊施設のあるホテルのような場所に行き、『今日は一泊してくれ』と言われて、そのまま泊まりました。その後、髪毛と指紋も欲しいと言われたので任意で提供しましたが、要するに警察の姿勢は最初から僕を犯人扱いしていたんです」

 福迫によれば、事件を最初に聞いたのは日本に帰る前日の2月24日朝。吾郎さんが勤めるダイバーズショッブに電話をしたところ、店員から「吾郎くんのお母さんが亡くなって、未確認だが吾郎くん本人も亡くなったようだ」と告げられたという。

食い違う証言

「大変なことになった」と思った福迫だったが、25日の帰国はすでに決まっていたと主張した。昨年のダイビング中に負傷し、今年3月のインストラクター試験が受けられなくなったため、昨年12月ぐらいから彼女と帰国を決めていたという。

「これは周囲の人も知っていたことで決して急な話ではありません。治療費に充てる保険の手続きの問題もありましたし、アパートの契約期限も迫っていた。そのため、ガレージセールで家具なども売っていて、高椅子を買ってくれた旅行会社の女性に頼んで、当日の便の手配もお願いしたんです」

 だが、ひと頃の福迫と吾郎さんは毎日のように、一緒に食事をするほど親しく付き合っていた。借金があったことも事実で昨年暮れに借りた500ドルのうち、その後300ドルはまとめて返済したが、残りは後払いということになっていたという。タイミングが悪かったといえばそれまでだが、なぜ吾郎さんの死も確認しないまま、帰国したのだろうか。

 ダイバーズショップの店長の証言は、福迫の主張と大きく食い違う。

「福迫は人のいい吾郎の性格に付け込んでクレジットカードを借りていたんです。それで去年の12月頃、吾郎のカードからレンタカー会社に1100ドル払い込まれているのが判明しました。彼が吾郎のサインを偽造していたんです。吾郎からの借金はそれ以外にもキャッシュで400ドルあって、本当は合計1500ドルです。このことを吾郎は毎日のように僕に相談してました。クレジットカードも実際にはお母さんのものでしたから『早く返してもらいなさい』と言われていたそうです。帰国についても全然知りませんでした」

 が、福迫はクレジットカードについても、400ドルの借金についても否定した。

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