「買った翌年に100万円値上がり」「利回りがオルカン超え」…富裕層が不動産投資から“アート投資”に乗り換える理由

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「数年で2倍以上に」

 いやいや、世界のお金持ちに限った話でしょう、という声が聞こえてきそうだが、

「アート投資は、一般的な日本人にとっても遠い世界の話ではありません」

 そう話すのは、株式会社アート・コンサルティング・ファーム代表取締役で、美術品投資に関する著書もある加藤淳氏だ。

「美術品といえど、何億円もするようなものばかりではなく、数万円で購入できるものが後に高騰することもあります。さらに法人や事業所得のある個人事業主の場合、現在は取得価額が100万円未満であれば減価償却資産として保有できるようにもなっています。こうした投資によって利益を得ている人は、決して少なくない時代なのです」

 実際にその恩恵にあずかったという声を紹介しよう。

「近年の不動産投資には頭打ち感があって……」

 そう切り出すのは、関東在住の70代男性。

「そこで相続税対策も兼ねて、近現代の絵画をいくつか購入してみました。すると、20万円ほどで購入した一部の作品が、ほんの数年で2倍以上の価格になっていたんです。持っていること自体に満足感がありますし、魅力のある投資だなと感じています」(同)

 もちろん、美術品とは「絵画」に限られるものではない。東京都内でコンサルティング会社を営む男性の話もまた興味深い。

「数十年前に会社を興したときの事務所がみすぼらしく、何か高級感を出すものを飾りたいと思い、近くの骨董店でエミール・ガレのガラス工芸品を購入したのが始まりです。装飾に富んだ美術品が部屋に一つ置かれているだけで、事務所に光が差したような気がしたものですよ」

 ガレといえば、19世紀のフランスを代表する世界的ガラス工芸家だ。

「それを機に、ガレや、同時代に活躍したガラス工芸家のドーム兄弟の作品を好んで買うようになりました。いずれも希少価値が高いようで、例えば専門店で250万円で買ったドーム作品と同程度のものが翌年、同じお店で350万円で売られていたことも。質の高い作品は価値が上がるものなんだと思いました」(同)

 これまた夢のある話のように聞こえるが、その一方で、専門家からは「金銭以外のリターンにこそ、アート投資の本質はある」という指摘が上がる。

 有料版の記事【12.6%の利回り? 金銭以外のリターンとは? “NISA勢”必見! 人生を豊かにする「アート投資」の知られざる実態と“攻略法”】では、アート投資の基礎的知識や最新のトレンド、気を付けるべき落とし穴、そして“金銭以外の本当のリターン”について詳述している。

デイリー新潮編集部

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