「買った翌年に100万円値上がり」「利回りがオルカン超え」…富裕層が不動産投資から“アート投資”に乗り換える理由

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 NISA制度の拡充によって「投資ブーム」が訪れる中、知る人ぞ知る投資マーケットを築いているのが、「美術品」だ。やり方次第では大きなリターンも期待できる一方で、「本当のリターンは金銭以外にある」という指摘も上がる。人生を豊かにするヒントに溢れる「アート投資」の実態について、体験者の話を聞いた。(以下は「週刊新潮」2024年10月17日号掲載の内容です)

 62億円の買い物が、6年後には110億円に――。2022年、実業家の前澤友作氏が、とある一枚の絵画をオークションで売却したときの話である。差額にして約50億円。美術鑑賞の“おまけ”と呼ぶには桁違いの利益だが、紛れもなく現実に起こったことだった。

 世間ではもっぱら、新NISA制度を活用した株式投資がかつてないほどの活況を呈している。株価の乱高下が大きな騒ぎになるのも、それだけ投資熱が高まっていることと無関係ではなかろう。

 あるいは少し前には、不動産や仮想通貨の値動きが日々の話題の中心にあったことも、まだ記憶に新しい。

 こうしたはやり廃りとは距離を置き、知る人ぞ知る投資マーケットを築いているのが、「アート」である。美術品の市場について分析する「Art Market Report」の2024年版によれば、2023年の世界のアート市場の規模は約9兆6100億円と、一大マーケットをつくり上げている。世界的な金融緩和の影響を受け、富裕層の余剰資金が美術品に流れ込んだことも背景にあるとされる。

 この中で、特にここ10年ほどで取引額が急増している「現代アート」の分野に限れば、過去27年の年平均利回りはなんと12.6%(米マスターワークス社調べ)。「全世界株式」(オール・カントリー)や「S&P500」などの人気インデックスファンドをも上回るリターンが実現しているというのだ。

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