“39歳無職男”の口座に「1億円」 「寺院から金品を盗むプロとしてマークされていた」
警視庁は10月1日、東京・八王子市の寺院に忍び込み、現金などを盗んだ疑いで無職の藤田孝男(39)を逮捕した。
【写真をみる】家賃は16万円!? “39歳無職男”の自宅は小ぎれいなアパート
警視庁によると、
「藤田の容疑は建造物侵入及び窃盗です。6月6日の朝4時30分ごろ、寺院の事務所に忍び込み、金庫を壊すなどして現金約430万円などを窃取したというもの。捜査にあたったのは(空き巣やスリなどの犯罪を担当する)捜査3課です」(広報課)
自宅は小ぎれいなアパート
一見、よくありがちな窃盗事件だが、藤田の場合、同じような手口で全国の寺から繰り返し金品を盗んできたのが特徴だ。
分かっているだけでも、藤田とみられる人物が、2017年10月に北九州市の寺から約46万円などを盗んだとして福岡県警に逮捕された。この時は合計4件の窃盗(被害額1150万円)が発覚している。また19年6月には熊本市内の寺院兼住宅から436万円を盗んだ容疑で捕まり、事件の公判中にも過去の窃盗が発覚、全国15カ所(被害総額2100万円)で窃盗を働いていたことが分かった。
藤田は盗んだとみられる金を銀行に預けており、その額なんと1億円!
彼が住所としている都内の家を訪ねてみると、そこには小ぎれいなアパートが立っており、家賃は月額11万~16万円。ため込んだ額からすれば何てことのない値段だ。
“ノビ師”としてマーク
警視庁担当記者は、
「藤田は、寺院から金品を盗むことを得意とする“ノビ師”として、警察からマークされていたのです」
はて、ノビ師とは、どんな窃盗犯のことを指すのだろうか。神奈川県警捜査3課の元刑事で、窃盗犯罪に詳しい小川泰平氏が解説する。
「窃盗犯にはスリや空き巣がありますが、家や事務所に“忍び”込んで窃盗を働く者を縮めてノビ師と呼ぶようになったのです。腕の立つノビ師は、人がいても気付かれずに金品を盗み出す。それだけに、技術と度胸を必要とし、刑務所に入れば同じ泥棒たちからも一目置かれる存在です」
そして、もう一つの疑問。どうして寺ばかりなのだろう。雑誌「宗教問題」編集長の小川寛大氏が言う。
「お布施や香典などはいまだに現金が主流ですし、賽銭箱には小銭がたくさん集まります」
電子マネーの時代にあっても、キャッシュが豊富な寺院は、泥棒に狙われやすいというわけである。