首相も財界トップも手玉に取った「天才霊感少女」 藤田小女姫殺害犯がハワイの刑務所で殺されていた

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 謎に満ちたストーリーに、さらにまた一つ謎が加わったといえるだろう。かつて謎の死を遂げた女性占い師を殺害した容疑で逮捕された男が、刑務所で殺害されたのだ。

 今月14日、ハワイの刑務所で、遺体で発見されたのは福迫雷太受刑者(59)。福迫受刑者は1994年、占い師の藤田小女姫(こととめ)さん(当時56)と長男の吾郎さん(同21)を殺害した容疑で、終身刑の判決を受け、服役していた。なぜ、どのようにして福迫受刑者が殺害されたかはまだ分かっていない。

 藤田さん母子殺害事件は当時、日本のワイドショーなどで連日取り上げられた。登場人物の数奇な人生も含め、あまりにもドラマチックなものだったからだ。

 殺害された藤田さんはかつて、“天才霊感少女”として絶大な支持を集めた時代があった。小学6年生だった藤田小女姫さんは、新聞で取り上げられたことがきっかけで、その予知能力が世間に知られることに。以降、彼女の元には多くの相談者が集い、そこには安倍晋三元首相の祖父、岸信介元首相や政界のフィクサー、経済界の大物たちの姿も……。しかし、狐の憑依によって得たというその能力は、とある事件をきっかけに疑いの目を向けられるようになる。

 藤田小女姫とは何者だったのか――少女時代から殺害されるまでの人生をたどってみよう。
(前後編記事の前編・「新潮45」2005年4月号特集「昭和史七大『猛女怪女』列伝」掲載記事をもとに再構成しました。文中の年齢、年代表記は執筆当時のものです。文中敬称略)

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ハワイから来た狐

 ある小学6年生の少女が、数奇な運命のレールを走り出したのは、朝鮮戦争が勃発し、日本中が特需景気にわいた昭和25年のことだった。

「奇蹟の少女現る 科学時代にこんな話題が」

 この年の産経新聞、5月1日付紙面に掲げられたヨコ見出しだ。記事は、予知能力を持つ12歳の少女のもとに、捜査への協力を要請する地元警察が足を運び、事業の相談などを持ちかける人が後を絶たないと伝えていた。

 母一人子一人の家庭でつましく暮らしていた少女は、その不思議な能力が、体に宿った瞬間を自覚していたらしい。取材記者には、こう話した。

 ハワイから来た狐が耳元で、「コトドヒメ」とささやいた4年前の夜を境に、「ものを聞かれると頭の中でタイプを打つような音がして無意識のうちに言葉がヒョイヒョイと口から出てくる」ようになったというのである。

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