「お前は最低だ」 大谷翔平を襲うメッツファンの「異様な熱気とブーイング」
「味方にまでブーイングを浴びせるファンの気質」
10月17日、ドジャースとメッツのナ・リーグ優勝決定シリーズの第3戦が行われる。初戦と翌日の第2戦は、ドジャースのホームで行われて1勝1敗。第3戦から19日の第5戦までは、舞台を敵地ニューヨークへ移してメッツに挑む。ここで大谷翔平選手に降りかかる、相手がメッツゆえの難題とは――。
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NYはいま、異様な“熱気”に包まれている。なぜなら、NYを本拠地とするメッツとヤンキースがそろってリーグ優勝決定シリーズに進んだのは、1999年と2000年の過去2回だけで実に24年ぶりの出来事。ライバルチーム同士でのワールドシリーズが期待されているからだ。
元メッツの環太平洋担当部長で、現在はカージナルスで日本駐在スカウトを務める大慈彌功(おおじみいさお)氏によれば、
「4万人の観客が一斉に“ブー!”とブーイングを叫べば、すごい圧力になるでしょう。アメリカの球場は上へと延びて4階から5階席まであるので、観客席からの声の響き方が全く違う。日本のように応援で鳴り物を使いませんので、声がバッターボックスに届きやすい。おまけにファンの気質は東海岸と西海岸では全く異なり、東海岸は敵ばかりではなく味方にも平気でブーイングを浴びせることで有名なんです」
「中学校に上がる前のような子供たちまで……」
メッツとヤンキースの投手だった野球解説者・五十嵐亮太氏は、こう振り返る。
「メッツ時代、私が印象的だったのは開幕の日のセレモニーですかね。選手をはじめ監督や裏方のスタッフまでが名前を呼ばれて、グラウンドに入る。そこで最初にトレーナーが紹介されたのですが、いきなり観客席からブーイングが起きた。“昨シーズン、選手のけがが多かったのはお前らのせいだ”というわけです。大人はもちろん、中学校に上がる前のような子供たちまで、彼女にふられたのかと思うくらい激しかった(笑)。私がミスをすると“お前は最低だ”などと、早口でののしられましたよ」
本来なら応援すべき選手にさえ手厳しいメッツファンなら、敵である大谷選手へはなおのこと過酷な仕打ちが待っているに違いない。
「気持ちをぶつけて憂さを晴らしたい」
「大谷がホーム初戦で打席に入った際、観客席からMVPコールが沸き起こりましたが、メッツファンは、主砲であるフランシスコ・リンドーアこそがMVPにふさわしいと思っていますからね。NYの第3戦からはリンドーアにMVPコールが起きて、大谷にはブーイングが飛ぶかもしれません。FA移籍の際、大谷がメッツに来るかもと期待を持っていたファンもいました。とにかく自分たちの気持ちをぶつけて憂さを晴らしたい。それがNYの空気で、メディアの姿勢も同様です」(五十嵐氏)
実際、第1戦でドジャース相手に3失点の乱調で降板したメッツの千賀滉大投手に対して、味方であるはずのニューヨークの地元紙が〈先発マウンドは大惨事〉〈チームの生命力が奪われた〉などと辛辣に報じた。10月17日発売の「週刊新潮」では、大谷選手が直面する「三つの難題」について詳しく報じる。