石破総理が避けて通れない日本経済「2つの難問」とは? 気鋭のエコノミストが説く新政権の「経済政策」注目ポイント

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石破首相の経済政策の姿勢をどう見るべきか

「石破政権は基本的に岸田政権の路線を踏襲するのだと感じています。金融所得課税や法人税について、総裁選の時の主張と総理就任後の主張には違いが見られますが、マーケットを意識せねばならない立場で、かつ衆院選を控えている時期に、なかなかご自身の考えは発信しづらいのだと理解しております」

 と語るのは、みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏である。

 石破茂総理の「発言」を市場が注視している。総裁選では金融所得課税や法人増税に言及し、日銀の独立性を重視する発言をしていた。しかし、総理就任後、金融所得課税について「検討していない」とし、今月2日には日銀の追加利上げをけん制する発言をし、結果、円安・株高が進行した。

 総裁選前と後で発言に「ゆらぎ」が見える石破総理の経済政策の姿勢をどう見ればいいのか。『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社)などの著書がある唐鎌氏に聞いた。

「実は石破総理には2年半前にお会いしたことがあります。2022年3月、議員会館で行われた水月会(旧石破派)の会合に講師として呼ばれ、1時間強の講演をしたことがあるんです。当時はロシアがウクライナに軍事侵攻し、円安基調が始まったころでした。私はかねて 円安が『日本経済の構造的問題』であると主張しているのですが、当時は永田町も霞が関も、恐らく金融市場でも、円安は一過性のものだと見る向きが多かったのです。円安が始まった初期の頃に私を呼んでいただいたということは政策的に広くアンテナを張った方なのだな、という印象を持ちました。声をかけてくださったのは、石破総理の側近である赤澤亮正・現経済再生担当大臣でした」

移民問題は社会の不安定化とセットで考える

 その石破首相の一丁目一番地と言えるのが「地方創生」だ。2014年には地方創生担当大臣も務め、今回の総裁選でも「日本経済の起爆剤」として大規模な対策を講じると訴えた。

「いまのところ具体的にどのような政策をやっていくのか、が明確ではなく、今後徐々に明らかになっていくのではないかと思います」

 と唐鎌氏。

「岸田政権でも『デジタル田園都市構想』というものがありましたし、大きな枠組みとして『国内投資を喚起する』という点では地方創生も同じ政策のように見えます。これが結果的に地方への交付金を増やすだけならば、都市と地方の格差是正に対する貢献は限定的となってしまう可能性もあります」

 また、日本経済、地方経済を活性化していく上で見逃せない2つの問題があるという。

「人手不足とエネルギー問題です。人口減少時代にあって、地方に企業を誘致するなどしていけば、そこで働くための人員をいかに確保するのか、という話になります。すると、足りない人手を移民で補う、という話になるのですが、石破総理を始め、ほかの総裁候補も移民問題をはっきりと語る方はいませんでした。経済合理性でみれば『移民は必要』でも、ヨーロッパの事例を見ても分かる通り、移民は社会の不安定化とセットで考えなくてはなりません。この辺りのビジョンも石破政権ではまだ明らかになっていません」

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