運命の「オーストラリア戦」で日本代表に死角はあるか サウジ戦“完封勝利”でも光った森保一監督の入念なプラン
2026年北中米W杯のアジア最終予選、過去の予選ではアウェー3連敗中というサウジアラビアに乗り込んだ森保ジャパンは、初ゴールを奪うだけでなく2-0の完封勝利を収めて今予選3連勝を達成。森保一監督はMF久保建英とFW中村敬斗を後半43分まで温存するなど、15日のオーストラリア戦を見据えた采配を振るいつつ、中東の盟主“緑の鷹”(サウジの愛称)を粉砕した。【六川亨/サッカージャーナリスト】
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森保監督は頑固なのか、それともチャレンジャーなのか。たぶん、その両方なのだろう。スタメンは9月10日のアウェー・バーレーン戦とまったく同じ。3-4-2-1システムの右サイドで起用された堂安律と南野拓実は、バーレーン戦では機能していたとは言い難く、前半で堂安は交代を余儀なくされ、伊東純也が代わりにピッチに立った。
この2人が入った右サイド、バーレーンにとって左サイドはカウンターの狙い所で、左MFマルフーンへのロングパスやサイドチェンジから日本を攻略してきた。ハイボールや背後へのパスに堂安が競り勝つのは難しいし、それは同サイドの南野も同じこと。しかし後半から伊東が入ることで守備の不安は解消された。
こうした背景があっただけに、スタメンでは堂安に代えて伊東か、南野に代えて久保という選択肢もあるのではないかと想定した。しかし森保監督は動かなかった。機能しないからといって1試合で代えたら、選手のプライドを傷つけ、自身への信頼を失うことになりかねないと思ったのか。それとも一度のトライで諦めるのではなく、今予選では機能するまでチャレンジするという決意の表れなのか。たぶん後者の判断による決断だろう。
インターセプトに成功した堂安
そしてそれは、先制点という好結果をもたらした。堂安の「右クロス」から、三笘薫、守田英正とワンタッチプレーの連続で最後は鎌田大地が押し込んで、地元の大観衆を沈黙させた。
もちろんサウジアラビアのロベルト・マンチーニ監督も日本を研究していた。バーレーン戦の前半を見れば、日本の右サイド、堂安と南野の所が狙い目というのは誰の目にも明らかだ。
そこで、今年1月のアジアカップでは1トップを務めたサウジアラビアの絶対的なエース、技巧的なドリブラーのサレム・アルダウサリを左サイドに配置。1トップには3年前のW杯予選のホームゲームで柴崎岳のバックパスを奪って決勝点を決めたフェラス・アルブリカンを起用する“日本対策”を講じてきた。
狙いとしては悪くない。しかし、名将マンチーニ監督にも目論見違いがあった。バーレーン戦で堂安が苦しめられたのは、サイドチェンジやロングボール攻撃によるカウンター、空中戦や背後へのパスの競り合いだった。
ところが33歳のサレム・アルダウサリはドリブラーのため、足元へのパスを受けてから突破を図る。このため堂安は、簡単に抜かれることもあったがインターセプトにも成功した。
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