ドラフトで指名も? 「軟式野球部」「カーディーラー」「逆輸入」…驚きの“変わり種選手”がドラフト戦線に浮上

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 プロ野球のドラフト会議は、10月24日に開かれる。同10日には、高校生と大学生が対象となるプロ志望届の提出が締め切られ、指名対象選手が出揃った。近年は国内の独立リーグ球団が増えており、様々なルートからNPB入りを果たす“変わり種選手”が出てきている。今年は、プロ入りを狙えそうな有望株はいるのだろうか。【西尾典文/野球ライター】

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自動車のセールスマンをしながら、野球を続けてきた

 まずは社会人野球から。茨城トヨペットの左腕、中島悠貴が面白い存在になりそうだ。神奈川の日大高時代はエースだったが、日本大学では選手層が厚いチームで存在感を示せず、リーグ戦通算3試合の登板に終わっている。

 大学卒業後は、茨城トヨペットに入社して、自動車のセールスマンをしながら、野球を続けてきた。茨城トヨペットは2006年に創部されたが、2010年から2017年まで活動を休止していた。練習時間や環境は、社会人の強豪チームと格段の差があるなかで、中島はメキメキと実力をつけた。

 中島が、大きなインパクトを残した試合がある。今年5月のトヨタ自動車とのオープン戦。4回からマウンドに上がり、3イニングをパーフェクトに抑えた。4つの三振も奪っている。最速150キロを武器に、昨年の都市対抗を制したトヨタ打線をねじ伏せた。

 その後に行われた都市対抗予選でも、強豪の日立製作所を相手に、1失点完投勝利を飾った。チームは本大会出場を逃したものの、中島はエイジェックの「補強選手」に選ばれ、東京ドームで150キロをマークした。これだけの活躍を見せれば、当然、プロのスカウトからも注目される。

「150キロ近いボールをコンスタントに投げられる左投手は、社会人でもなかなかいません。コントロールも悪くない。少し変則気味のフォームが武器になっていますね。(企業チームの選手は育成で指名できないルールがあるため)支配下で指名できるか、微妙なラインですが、貴重なサウスポーですし、他の選手との兼ね合いで支配下の枠に余裕があれば、指名を検討する球団も出てくるでしょう」(関東地区担当スカウト)

 ドラフト会議前の最後の公式戦には、6球団、15人のスカウト陣が視察に訪れており、中島に対する注目度は高いと思われる。茨城トヨペットから、初のプロ選手が誕生するか。

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